黙殺されがちな「大学教員による学生へのハラスメント」実態調査

黙殺されがちな「大学教員による学生へのハラスメント」実態調査
マネーポストWEB 2020/3/8(日) 16:00配信

 大学教員による学生へのハラスメントは、大学という閉鎖空間ゆえに、その多くが黙殺される現状がある。昨今、大学の部活におけるパワハラや大学教員のセクハラなどが報じられる機会も増えたが、これらは氷山の一角に過ぎない。セクハラやアカハラをはじめとする「キャンパス・ハラスメント」に苦しむ学生の声こそ、正しくすくい上げる必要がある。

 今回、都内の大学に通う大学生に、自身が体験した大学教員によるハラスメントについて調査を行ったところ、看過できない事例が浮かび上がってきた。以下、いくつか事例を紹介しよう。

■講義中、学生に向かって「おまえは病気だ」

「講義中に騒いでいた学生に向かって『おまえは多動症だ。いくら注意しても病気なんだから仕方ないな』と吐き捨てた男性教員がいる。周りの学生や本人は騒いで笑っていたが、自分は精神的な障がいを持っているので、その発言を聞いてから動悸が止まらなくなり恐怖を感じた」(男性・学部生)

■70代男性教授が「卒論指導」と称して女子学生に接触

「昨年、大学4年のときに70代の男性の教授に『卒論を見てあげるから』と大学のそばにある高級ホテルのカフェに呼ばれた。途中まで書いた卒論を印刷して持参したら、まったく読んでもらえず。徐々に体を触ってきた。怖くて固まっていると、『留学を考えているなら英語のレッスンもしてあげるから自宅においで』と言われ、信頼していた教授だっただけに涙が出てきた」(女性・学部生)

■大教室で遅刻の学生を立たせて激昂

「就職活動で遅れてしまい、走って講義に向かったら30分遅刻してしまった。500人位の大教室だったが、教授にマイクを通して『おい! 遅れてきて資料だけもらうなんて図々しい』『遅れたのに平然と俺の講義を受けようとするな!』などと怒鳴られた。静まり返る教室で一人注目され、とても怖かった。その教授を見かけるだけで動悸が激しくなるようになった」(男性・学部生)

■男性教員が「男ならうつ病なんかに負けるな」と発言

「うつ病が悪化し、2年休学をしていた。復学をしてカウンセラーさんにサポートしてもらいながら、徐々に回復してきたところで、ある男性教員に『なんで1年の必修なのに、再履修しているんだ?』と聞かれた。『うつ病で通えなかったため』と答えたら、他の学生がいる前で『は? 男ならうつ病なんかに負けんな!』とゲラゲラ笑われ、再び大学に行くことに恐怖心が生まれてしまった」(男性・学部生)

■研究室の飲み会で必ず教授に酒を注がされる

「理系の研究室で修士課程の女性は私一人。必ず教授に『じゃあ、お酒お願い!』などと指図され、男性の先輩、教授全員にビールを注がされる。誰一人、これをおかしいと思わない風潮が怖い。抵抗すると研究室に居場所がなくなりそうなので、嫌だが行っている。飲み会の最中は、博士課程の先輩が『このあと風俗行く人、挙手!』などと騒いでおり、これも不愉快。教授は笑っているだけで注意しない」(女性・大学院生)

■ゼミの飲み会で女子大生を「メンヘラ」呼ばわり

「うちのゼミの准教授が、ゼミ生の女性に『◯◯はメンヘラだ』『メンヘラだからそういう恋愛ばかりするんだよ』などと発言していて、気持ちが悪すぎた。本人はどう思っているかわからないが、そんな差別的な発言を平気でする人間が教授だと思うと絶望する」(男性・学部生)

■女性教員が「容姿が可愛い子」などと発言

「友人が所属しているゼミの先生が『うちのゼミは可愛い子ばっかりだから嬉しい』『容姿端麗な子が集まるから華やかで、写真にも映える』『可愛い子は毎年うちのゼミに集まる』と発言していたらしい。学生をそういう視線で見ていることが不愉快だし、教員としてあり得ないのでは?」(女性・学部生)

■Twitter上で悪口を書かれる

「うちの教授は有名なツイ廃(※Twitter廃人のこと)。名前や講義名こそ書かないが、『あ〜疲れた』『今年の学生の卒論はキツイ』『あれほど引用を明記しろって言ったのに、バカだな』などと愚痴を書いている。学生としてショックだし、だいたい誰のことを書いてるか想像がつく。なぜ鍵を書けずにツイッターで指導学生のことを書くのか理解不能」(男性・学部生)

■「◯◯君ってオネエ系だったっけ?(笑い)」

「自分は戸籍上男性だが、アイデンティティは女性。ファッションも大学3年になってから徐々に好きなもの、着たい服、したいメイクをするようになった。容姿の変化に気づいた教授から、『あれ? ◯◯君ってオネエ系だったっけ?(笑い)』と言われ、心底傷ついた経験がある。教育者、研究者としてこれでいいのか? こうした発言一つで、その人間の学問的な能力も、すべて疑いの目で見てしまう」(トランスジェンダー・学部生)

■女子学生の前で「編集者が美人だから執筆仕事受けちゃう」

「学会で会った某有名教授が、『あそこの出版社の編集者は美人なんだよ。エロいから執筆仕事を受けちゃうね。でも某社はブスばっかりだから、仕事もしたくない。書きたいと思わせる編集者がいないとキツイ』などと発言していた。本当に気持ちが悪かったが、周囲の教授たちは笑ってスルーしていた」(女性・大学院生)

 これらは一部の事例に過ぎない。「ハラスメント相談室」が設置されている大学もあるが、学生がそこに訴えても、教員側に処罰が下らず学生に非があるとされる場合も少なくないという。学生と教員だけの空間では、権力関係が働くことは免れない。第三者が介在しづらいキャンパス空間ではハラスメントが黙殺されてしまいがちだが、耳を傾けてくれる教員や職員、同級生などをみつけできる限り早く相談をしてほしい。

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