尻蹴られごみ投げられる 沖縄の私立中でいじめ認定 被害生徒は不登校・転校 第三者委「対応遅れで深刻化」
沖縄タイムス 2020/4/23(木) 9:40配信
沖縄尚学高校付属中学校の名城政一郎校長は21日、同校で会見を開き、2017年に起きた生徒1人に対するいじめを第三者委員会が認めたと発表した。第三者委は学校の初動が遅いなど対応が不十分だったとし、いじめ防止対策推進法による早期対応などを提言した。
名城校長は「法の理解が不十分で対応が不適切だった」と謝罪した。
報告書などによると、男子生徒は中学1年生だった2017年の夏休み明けから10月にかけ、6人の生徒から授業中のからかい、尻を蹴られる、ごみを投げられるなどのいじめを受けた。被害生徒は不登校になり2年生の時に転校した。
保護者が県総務私学課に相談したことを受け、学校側は18年11月に同推進法に基づく第三者委を設置。委員会は今年3月に報告書をまとめ、男子生徒が1年生時に不登校や適応障害となったのはいじめが起因と考えられるとした。一方、2年生時の不登校や強迫性障害と、いじめとの因果関係は不明とした。
学校の対応については担任や学年主任の初動が遅れ、いじめに対応する体制の構築の遅さが問題を深刻化させたと指摘した。
名城校長は17年10月に保護者からの相談があったとし「当時は様子を見るという判断をしたが、法律ではすぐに被害生徒を守れるかを徹底的に調査して対応しないといけなかった。認識不足があった」と釈明。再発防止策として教職員の研修の徹底、いじめに特化した毎月1回のアンケート実施、心理や福祉の専門家を加えた「いじめ・対策委員会」で対応することなどを説明した。
第三者委の報告書や学校の取り組みは22日に同校のホームページで公開された。
一方、被害生徒の父親は「息子はすでに転校し、中学を卒業した」と対応の遅れを指摘。被害生徒は不登校が原因で県立学校を受験できず、単位制高校に入学したという。父親は「いじめは誰にでも降りかかるが、教員が初期で抑えれば止められる」とし、同推進法の理解を広める必要性を強調した。