「上告せず」蒲島知事が表明 県立高校生いじめ自殺訴訟

「上告せず」蒲島知事が表明 県立高校生いじめ自殺訴訟
熊本日日新聞 2020/7/21(火) 20:37配信

 2013年に自殺した熊本市内の県立高1年の女子生徒=当時(15)=の遺族が県に対し、「いじめに適切な対応を取らなかった」などとして損害賠償を求めた訴訟で、蒲島郁夫知事は21日、賠償を命じた福岡高裁判決について上告しないことを明らかにした。

 同日の定例記者会見で蒲島知事は哀悼の意を表し、「学校の対応が不十分だった点について県も責任がある」と説明。「判決を重く受け止め、深い悲しみを感じておられるご遺族の気持ちを考慮し、判断した」と述べた。

 19年5月の一審熊本地裁判決は、いじめを一部認め、当時の同級生に11万円の支払いを認めたが、学校側の責任は否定し、県への請求を棄却。県だけを相手取った7月14日の二審福岡高裁判決は、不適切な指導で生徒が精神的苦痛を受けたとして、県に220万円の支払いを命じた。

 古閑陽一県教育長は「いじめに関する情報を一元化して集約する担当者を各学校に置く方向で検討を進め、組織的な対応を徹底する」とコメントした。

 女子生徒の母親(52)は「娘の思いに応えてくれた判決が確定することになり、一つの区切りが付けられた。同じ悲しみが繰り返されないためにも、いじめを初期の段階から未然に防ぐ体制を整えてほしい」と述べた。(澤本麻里子、臼杵大介)

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