教師からの性被害、8割が学校内 被害女性がネット調査
産経新聞 2020/12/10(木) 18:34配信
わいせつ教師の処遇が問題となる中、教師による性暴力の被害者の立場からその予防を訴える女性が、インターネット上で教師の性暴力に関するアンケートを行ったところ、被害を受けたとした人のうち8割が教室など学校内で被害を受けたと回答していたことが10日、分かった。女性は同日、文部科学省の鰐淵洋子政務官に調査結果を提出。第三者委員会による調査やほかの教師による通報の義務化などを要望した。
アンケートを行ったのは東京都在住のフォトグラファー、石田郁子さん(43)。7月9日〜31日、インターネット上で、教師による性被害に遭ったことがある、または遭いそうになった人を対象に行ったところ、149件の有効回答があった。アンケートは今年5月に続いて2回目。
石田さんによると、回答者のうち、被害を受けた相手について小学校教師としたのは64件、中学校教師は45件、高校・高等専門学校の教師は28件だった。最初の被害に遭った場所は、学校の教室69件、体育館やプール23件、そのほか学校内は26件で、学校内での被害が8割に上った。
被害に遭った状況は、授業中46件、休み時間や放課後など25件。被害内容は体を触られるなどが76件と最も多く、次いで性的な発言、会話をさせられるが64件だった(複数回答)。
具体的には「授業中に性的な言葉を言わされる」「体育の授業中に跳び箱で補助する際に、股間を触られた」「水泳の時間に女子だけ足首を持たれて指導された」などの被害が報告されたという。
石田さんは「授業中は大勢の生徒が同時に被害を受け、気のせいや先生の親切だと思うこともある。どさくさにまぎれた性暴力被害が多く生徒は防ぎようがない」とする。
また、最初に被害を受けたときは8割近くが被害を認識できなかったと回答。認識できたとした人のうち、教師や親、友人に相談した人は5割で、そのうち6割以上が「信じてもらえなかった」「黙っているように言われた」「怒られた」など、解決に消極的、否定的な反応を受けたとした。被害に気付きにくいだけではなく、被害を訴えにくく、まともに取り合ってもらえないのが現状として浮かび上がる。
石田さんは「ほかの教員が気づいても見ぬふりをしたという反応が一番多い。介入するなり、少なくとも通報の義務を徹底してほしい」とし、法改正も含めた改善を求めた。
石田さんは中学生時代、在校していた札幌市立の中学校で、男性教師に性暴力被害に遭い、性被害でPTSDを発症したとして札幌市教育委員会と教員に対し、昨年2月に東京地裁に提訴。同9月、民法上の損害賠償請求権が認められる期間(除斥期間)が過ぎているとして退けられ、現在は東京高裁に控訴している。