学費稼ぎの餌食にされ…留学生を「日本嫌い」にするメカニズム【相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実】
日刊ゲンダイDIGITAL 2021/1/8(金) 9:26配信
【相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実】#20
関東の地方都市で日本語教師をしているBさん(女性・30代)は昨年、日本語学校から専門学校へ転職した。日本語学校当時と同様、教える留学生はベトナム人が過半数を占めるが、「同じベトナム人でも、日本語学校の留学生とは明らかに雰囲気が違うんです。あまり私に近づいてこないし、どこかスレた感じがして……」。
■学費稼ぎの餌食に
日本人の学生が集まらず、その穴埋めに外国人を受け入れる専門学校は増えている。日本語学校を卒業しながら日本語がほとんどできない留学生でも、学費さえ払えば入学させるのだ。Bさんの学校もそうだ。
「留学生たちは日本語学校で2年間、嫌な目に遭っています。そして専門学校も自分たちを学費稼ぎに利用しているとわかっている。だから、日本人に不信感を持ってしまうのでしょう」
ベトナム人留学生の数は2019年末時点で8万人を数え、12年からの7年間で9倍に膨らんでいる。出稼ぎ目的で、多額の借金を背負い来日する“偽装留学生”が急増した結果だ。
偽装留学生は、まず日本語学校に入学し、1年半から2年を過ごす。受け入れ先には、ひどい学校があまりに多い。寮費のボッタクリ、失踪防止のためのパスポートや在留カードの取り上げ、学費を滞納する者を拘束しての母国への強制送還、系列の専門学校への内部進学強要……。すべて筆者が具体的な事例を取材してきたことだ。
相手が日本人の学生であれば、こんな学校側の横暴は決して許されない。しかし、日本語に不自由な留学生が相手であれば、世に知られることもなく、学校に対する行政処分すらない。
今も筆者のもとには、見知らぬ留学生たちから時々メールが届く。先日も日本語学校に在籍する留学生から、こんな内容の相談があったばかりだ。
「留学斡旋業者から『留学先は東京の学校』と聞いて来日したが、岩手県の学校に入れられてしまった。転校できるよう助けてほしい」
だが、日本語学校の留学生に転校の自由は原則認められない。悪質な日本語学校に入学しようと、耐えるしかないのだ。
留学生の側にも問題がある。留学先の学校の名前すら知らずに来日するようなケースも多い。筆者に連絡をよこした留学生も、業者との間で契約書すら交わしていなかった。これでは、悪い業者と日本語学校が組めば、簡単に留学生をハメられる。
そもそも偽装留学生たちは本来、留学ビザの発給対象にならない。しかし捏造書類でビザを取得し、「留学」を出稼ぎに利用する。そんな彼らを日本語学校は待ち構え、学費稼ぎに利用する。学校を利用するつもりが、逆に「留学生ビジネス」の餌食になるわけだ。
しかも留学生たちは、借金返済と学費の支払いのため、日本人の嫌がる底辺労働に明け暮れる。彼らがスレるのも当然で、“親日”ベトナム人など増えるはずもない。=つづく
(出井康博/ジャーナリスト)