地毛なのに”黒染めを強要された” 女子生徒が大阪府を訴え 「指導に違法性はない」と判決
関西テレビ 2021/2/16(火) 20:47配信
通っていた府立高校で茶色の地毛を黒染めするよう強要されたとして元女子生徒が大阪府を訴えていた裁判の判決で大阪地裁は頭髪指導については「違法性はない」と認定しました。
訴えによると大阪府立懐風館高校に通っていた女性(21)は、生まれつき茶色っぽい髪の毛で、中学校で黒染めを強要された経験があるため、入学するにあたり、保護者が高校側に配慮を求めていました。
しかし、高校の教員は女性に対し、髪を黒く染めるよう繰り返し指導。
女性は頭皮に痛みが出るほど何度も黒染めして登校しましたが学校側から「黒染めが不十分だ」などと言われ続け、2年生の9月から不登校になったということです。
また、3年生になり、学校に戻ろうと面談に行くと、出席名簿から女性の名前が消され、教室から席が無くなっていたとということです。
女性は「生徒指導の名の下の『いじめ』だ」として、大阪府に約220万円の損害賠償を請求。
これに対し大阪府は…
【大阪府教育委員会・向井正博教育長(2017年)】
「学校側は生まれつき黒髪であったことを前提として指導したということ」
府側はこれまでの裁判で「女性のもとの髪の色が黒いことを教師3人が髪の根元を見て確認している」などと主張。
名簿から名前を消したことなどについては「不登校状態が目立たないようにした」として訴えを棄却するよう求めていました。
16日の判決で大阪地裁は黒染めの指導について「教師らは女性の髪を直接見て地毛が黒髪だと認識し指導するなどしていて、違法とは言えない」としました。
一方で、学校が名簿や席を排除したことについては、「不登校の状態にあった女性の心情に配慮したものと言えず、裁量権の範囲を逸脱し違法」として大阪府に慰謝料などとして33万円の支払いを命じました。
判決を受けて学校の校長は…
【大阪府立懐風館高校・高橋雅彦校長(判決後)】
「適切に指導していたが、こんな訴訟になり改めて悔やまれる。(訴訟が起きた後も)黒く染める基準は変えていないが、生徒さん保護者の納得が得られる指導を、より寄り添う指導を心がけてきているつもりです」
一方女性の代理人は「こちらが提出した幼少期の写真には全く触れず、教師たちの証言が裏付けもなく信用されていて、事実認定が乱暴だ」として控訴を検討するということです。
教育問題に詳しい名古屋大学教育学部の内田良准教授は「教育界で非常に注目された裁判。頭の先から足の先まで決めるような校則は欧米では人権侵害にあたりかねない。生徒の自主性にもう少し任せてもいいのでは」とコメントしています。