「非常に悪質」“スポーツ倫理学の権威”友添・元早大教授の「パワハラ報告書」入手
文春オンライン 2021/2/24(水) 16:12配信
昨年10月末、早稲田大学スポーツ科学学術院教授を退職した友添秀則氏(64)が、在職期間中にパワハラを行っていたと認定されていたことがわかった。早大の調査報告書を「週刊文春」が入手した。
友添氏は2000年に早大教授に就任し、同大学スポーツ科学学術院長や理事を歴任。
「スポーツ界で暴力事件やパワハラ問題が起きると、メディアに登場して指導者の倫理や組織のガバナンスの重要性を説いてきた、スポーツ教育学・倫理学の権威で、この分野の第一人者です」(全国紙記者)
だが、2019年末、匿名の内部告発によって友添氏のパワハラ疑惑が発覚する。大学の査問委員会で処分が検討されていたが、友添氏は決定の前に「自己都合」を理由に退職した。その後、JOC常務理事は退任したものの、現在もスポーツ庁スポーツ審議会の会長代理、スポーツ教育学会や日本体育科教育学会の会長を務めている。
「大学側は教授会からの説明要求を拒否し、被害者にも報告書を開示していない。対外的にもパワハラの事実を公表せず、ひた隠しにしているため、友添氏は事実上お咎めなしの状態です」(早大関係者)
今回、「週刊文春」は公表されていない早大の調査報告書を入手した。この報告書では、友添氏のパワハラがはっきりと認定されている。被害者は同学術院に所属する若手教員A氏とB氏。最も強く非難されているのは2人への“退職強要”だ。
2019年10月2日、友添氏は別の大学の非常勤講師を兼任していたA氏に対してこう告げている。「自分の力で、どこか就職を探して、就職していけよ」「もう1年もこんな関係で、無理だぜ」
その翌月には、まだ1年任期があるB氏に「お前、今年で辞めんのか」「もうつなげない。3月で辞めるんだから」などと発言。
これらの発言について、報告書はこう結論づけている。
〈優越的な関係に基づき、業務の適正な範囲を超えて行われた就業環境を害する行為として、パワーハラスメントに該当する〉
〈Aを本学から排除し、現に就任しているF大学非常勤講師の職をも辞すよう強いるもので、非常に悪質といわなければならない。また、Bに対する行為も、その地位に不安を抱かせるもので、悪質である〉
早大に報告書の内容と友添氏の処分について問い合わせると、次のように回答した。
「調査報告書につきましては、その存在の有無も含めて、学外秘の取り扱いになっておりますので、回答を控えさせていただきます。友添元教授につきましては、退職すなわち失職を上回る懲戒処分を下す事由を、大学は入手しておりません。したがいまして、自己都合退職の申し出を尊重して、受理したということです」
友添氏が会長を務める公益財団法人を通じて同氏に事実関係を尋ねたが、「個人のプライバシー」を理由に回答しなかった。
スポーツ界のパワハラを厳しく批判してきた友添氏に何が起きていたのか。
2月25日(木)発売の「週刊文春」では、パワハラ報告書をひた隠しにする早大の実態や、友添氏の他のパワハラの様子などについて報じる。