死を招いた元監督らの暴力、韓国勤労福祉公団が労災認定
朝鮮日報日本語版 2021/4/22(木) 14:01配信
監督と運動処方士、先輩選手たちからの相次ぐ暴行やいじめ行為で自殺した、慶州市庁トライアスロン・チーム所属のチェ・スクヒョン選手に対し、勤労福祉公団が業務上の災害(労働災害)を認めていたことが21日、確認された。最近になって、職場内のいじめ行為などを原因とする自殺が労災として徐々に認められる傾向があるが、スポーツ界の事例が労災と認定されたのは今回が初めてだ。
本紙が入手したチェ選手の業務上疾病判定書によると、勤労福祉公団大邱業務上疾病判定委員会は8日、「慶州市体育会所属で、業務遂行過程において経験したいじめ・暴行により精神科の治療を受けた事実が認められるなど、チェ選手の死は業務とかなりの因果関係が認められる」と判断した。チェ選手を自殺に追いやった「適応障害」(衝撃的な出来事を経験した後、うつや不安などの症状が強く持続するもの)が産業災害補償保険法上の業務上疾病に該当し、それに基づいてチェ選手の遺族に葬儀費や遺族給付金などを支給しなければならないということだ。
チェ選手は昨年6月26日午前1時ごろ、家族に「お母さん、愛している。あの人たちの罪を明らかにしてほしい」という携帯電話のメッセージを送った後、居住地である釜山市東莱区の8階建て集合住宅屋上から飛び降りた。検察の捜査の結果、チェ選手は2017年と2019年に慶州市庁所属のトライアスロン選手として活動、キム・ギュボン元監督、アン・ジュヒョン運動処方士、チーム内のほかの選手たちからのいじめにさいなまれ、精神科の治療を受けていたことが分かった。これらの人々は成績不振を理由にチェ選手のほおや頭を手でたたいたり(暴行)、菓子を約1キログラム無理やり食べさせたり(食の拷問)、運動指導過程で不適切な身体接触(強制わいせつ)をしたりしていたことが分かった。今年1月、この事件の一審裁判でキム元監督は懲役7年、アン運動処方士は懲役8年を言い渡された。
法曹関係者の間では、今回の決定は暴行・いじめ行為が依然として繰り返されているスポーツ界に変化をもたらすだろうとの見方が出ている。チェ選手側の弁護人であるイ・ヨンデ弁護士は「スポーツ選手たちは自分のことを労働者だとは思っておらず、いじめによる被害を労災だと考えることすらできない」「選手たちと指導者たちの考えを変える転換点になるだろう」と語った。