《愛媛発》部員から誕生祝い金をカツアゲ、銭ゲバ鬼監督の許されざる“極悪指導”
週刊女性PRIME 2021/4/28(水) 4:01配信
「今回の件は氷山の一角ですよ。先生は校長も逆らえないほど、学内では傍若無人に振る舞っていました」
かつての教え子は憤る──。
金を支払わない生徒には恫喝まがいの催促
愛媛県大洲(おおず)市にある剣道部の強豪校、帝京第五高校で総監督を務めていた男性(62)が4月16日に解雇された。いったい、何が起きているのか。
「(元)監督は毎年、自分の誕生日に剣道部の部員から祝い金を強制的に集めていました。2020年は部員29人から1人5000円、計14万5000円を受け取ったことが明るみになった」(地元紙記者)
高校生からなけなしの金を巻き上げるなど教育者の風上にも置けないが、
「現金を受け取った際はそれ以上のお返しをしたとのことですが、実際は金を支払わない生徒に恫喝まがいの催促をしていた。
監督の誕生日は4月。つまり、入ったばかりの新入生は入部していきなり先生に誕生日祝いをさせられたことになります」(同)
この集金は少なくとも2009年〜2014年の間、部の慣習として定着していたことが確認されており、生徒も親も拒むことはできなかったという。
1982年に帝京第五高校に着任していた監督は体育教師を務めながら、40年にわたり同校の剣道部で指導を続けてきた。2度の全国大会優勝を果たすなど、カリスマ監督として辣腕を振るった。
学内では副校長まで上り詰め、昨年に定年退職。直後に剣道部の総監督に就任した矢先に発覚した不祥事だった。
数々の栄誉を手にしてきた監督だが、普段の振る舞いは目に余るものがあったようだ──。
5年ほど前の様子を知る元生徒のAさんによると、
「当時、近隣のB高校の剣道部に帝京第五の生徒が誰も勝てない強い部員がいました。
その学校と練習試合をしたときです。監督はその部員を疎ましく思ったのか、挨拶にきた際に“なんだその目つきは”などと難癖をつけて説教を始めました。
理不尽に生徒が傷つけられたB高校の顧問は怒り、試合を中止にして帰ってしまいました」
あまりにもあきれたエピソードだが、さらに遡ると信じられないような証言も。
常に指導対象を探して、理不尽に怒鳴り散らす
冒頭の20年ほど前の元生徒、C子さんが明かす。
「仲のよかった剣道部の女の子がいたのですが、ある日校庭ですれ違うと、顔が青アザだらけでパンパンに腫れ上がっていたんです。
どうしたのか聞くと、先生に抜き打ちの手荷物検査をされて、持ってきてはいけない携帯電話を所持していた罰で殴られたと言っていました」
許されない仕打ちだが、
「それでも彼女の親は“おまえが悪い”と突き放した。先生は剣道の世界ではカリスマで、妄信していた親は何も言えなかったようです。
その後、彼女は毎朝、職員室へ通って先生にひたすら謝罪することを強要されていた」
結局、監督に憧れて高校に入学したその少女は、学校が嫌になり退学してしまったという。
C子さん自身も被害を受けていたようで、
「体育の授業の体操で前かがみになっていたら、突然、先生に髪の毛を鷲掴みにされた。
どうやら髪を染めていた別の子を指導しようとしたようなのですが、“間違えた。まあいい、お前も来い”とそのまま指導室まで連れていかれ、理由もなく染めていた子と一緒に説教されました」
あまりに理不尽すぎるが、
「とにかく常に指導対象を探していた。視力がよくて、校庭の向こう側にいる生徒でも突然走って追いかけてきて、意味もなく怒鳴り散らす。
周囲の先生たちも“先生が来たよ! スカートの丈を直して!”と忠告してくれたくらい」
当時からあまりの暴走ぶりに誰も何も言えず、校長も頭が上がらないほどで、実質的最高権力者として君臨した。
子どもの将来をエサに金銭を巻き上げ、横領疑惑も
最近になって多少、暴力は落ち着いていたようだが、次第に権力を悪用して「金儲け」に走るようになる。
今回、解雇の原因となった誕生日の現金徴収についても同様で……。
「監督は剣道部のレギュラー決めだけでなく、卒業後の大学進学の推薦なども決める権限がありました。将来を握られた親や子は、お金を支払わざるをえなかった」(前出・記者)
子どもの将来をエサに金銭を巻き上げるとは、まさにカツアゲそのもの。
さらに一部報道では、監督は過去に生徒から受け取った金を60万円もする高級腕時計の支払いの足しにしていたことも伝えられている。
「それだけではありません。金に汚い監督には、横領の疑惑まであるんです……」
どういうことか。
「剣道部の部費を調査したところ、総監督へ交付される現金について、不明瞭な会計の実態が明るみになったんです。
部費の会計は学校とは別に独立して行うことが多く、ほかの学校でも顧問による横領が発覚することはよくあるようですが……」(同)
横領の事実が本当なら由々しき事態だが、詳細はいまだ明らかにされていない。
出禁になった直後に稽古場に顔を出す
ともあれ、ひとまず解雇されたことにより一件落着と思われたが、週刊女性が取材を進めると、驚くべき情報が。
「解雇の直後、校長は“彼は出禁になりました”と先生たちの前で宣言しました。ところが、まさにその日にも、監督は稽古場に顔を出していたんです」(校内の事情を知るDさん)
冗談のような話だが……。
「剣道部の練習では部員に向かって、“俺のことはいいからおまえたちはインターハイに向けて集中しろよ!”と声をかけていたそう。今後も部活に参加する気満々みたいですよ」
これほどの騒ぎを起こした直後に平然としていられるとは神経を疑うが……。事実を確認するため、週刊女性は監督の自宅を訪れた。
しかし、解雇になった後は何日も連続で不在にしているようで、電話も通じなかった。
強豪私立高校では自浄作用が働かない
そこで学校を管理する法人に問い合わせると、
「(監督は)今後は、高等学校および剣道部の活動に関わることはありません」
また横領疑惑については、
「調査では、部費の支出先は『保護者会』であるのに、領収書のあて先は『後援会』となるなど支出系統が不明瞭であると報告されていますが、横領と認定はしていません」
あまりにひどい監督の「異常指導」の数々──。
『ブラック部活動』などの著書がある名古屋大学准教授の内田良氏によると、
「強豪私立高校では部活動が学校の看板なので、監督を解雇にするとそれだけで生徒が集まらなくなり、学校の存続の危機になりかねないという事情があります。そのため、自浄作用が働かないんです」
剣道部の道場には部訓である『一意専心』という言葉が掲げられているが、肝心の監督がご乱心だったようだ。