入試採点ミス1155人処分 校長、副校長ら減給 茨城県教委

入試採点ミス1155人処分 校長、副校長ら減給 茨城県教委
茨城新聞クロスアイ 2021/5/26(水) 4:00配信

茨城県立高入試などの採点ミス問題で、県教委は25日、解答用紙などの誤廃棄を含む関係者計1155人に対し、減給をはじめとする懲戒処分や文書訓告を同日付で行ったと発表した。採点業務に関わった管理職を含む教員4336人のうち、26・6%の1152人が対象となった。ほかに、特別職などのため処分対象外の小泉元伸教育長と2代前までの教育長、前学校教育部長の計4人は減給処分相当の額を自主返納する。24日の再発防止策決定に加え、県教委で前例のない大規模な処分が決まり、問題は一つの節目を迎えた。

採点ミスは県立高と県立中・中等教育学校の昨春と今春の入試を巡り、78校で計988件見つかり、本来合格の4人を不合格としていた。また、1年間保存すべき昨春分の解答用紙を県立高11校で誤廃棄し、中教校1校でも、採点者名などが書かれていた一部表簿を誤廃棄していた。

懲戒処分は、採点誤りと誤廃棄があった学校の当時の管理職を減給10分の1とした。その期間は、両事案があった学校の校長6人が3カ月と最も重く、どちらかの事案があった学校の校長65人は2カ月、採点誤りのあった学校の副校長・教頭116人は1カ月とした。前高校教育課長と、合否に影響する誤りに関与した教諭9人は戒告とした。

文書訓告は、同課前副参事2人と、合否に影響しないミスに関与した教諭945人、誤廃棄のあった学校の当時の事務長・事務室長11人が対象。

小泉教育長と前教育長は責任者として、2代前の元教育長は他都県の採点ミス問題を踏まえて適切な対策を講じなかったとして、それぞれ減給10分の1(3カ月)相当分を自主返納する。前学校教育部長は同1カ月相当分を返す。

県教委によると、今回の処分は、教職員の懲戒処分の指針のうち「公文書の不適切な取り扱い」の項目に照らし合わせた。定年退職などで処分できない当時の学校管理職20人には自主返納を求める。

記者会見で、小泉教育長は「受検者の将来を左右しかねない重要な場面で、多くの採点誤りを発生させ、改めて心よりおわび申し上げる」と頭を下げた。学校現場と教育行政部門が二度と誤りを出さない共通認識を持ち、一体となり再発防止策に取り組み「信頼回復に努める」とした。

大規模な採点ミスは近年、東京、神奈川、山形の各都県で発生。東京は約3520人、神奈川は約1540人、山形は約1030人を処分している。

■採点ミス問題の経過
3月17日・牛久栄進高で採点ミスが2件あり、受検者1人を追加合格にしたと発表。県教委は県立高92校1分校に一斉点検を指示
3月22日・一斉点検で406件判明し、境高と取手一高の各1人を追加合格にしたと発表
3月30日・昨春分457件のミスと11校での答案誤廃棄を発表。ミスは今春分で新たに88件判明。県立中・中等教育学校では2年分で35件判明し、並木中等教育学校の昨春分で1人を追加合格
4月 8日・採点ミス問題を検証する第三者委員会初会合
4月26日・第三者委が採点2系統化など再発防止策提言
5月24日・県教委が再発防止策を定例の教育委員会に報告し了承される。関係者処分も決定
5月25日・1155人の処分を公表

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