「あらゆる虐待を受けてきた」 カナダの先住民寄宿学校問題、生存者が語る
BBC News 2021/6/7(月) 17:42配信
カナダで先住民同化政策の寄宿学校跡地から未成年215人の遺体が発見された問題を受け、国内外で批判が広がっている。
5月27日に遺体が発見されたのは、西部ブリティッシュコロンビア州カムループスの先住民寄宿学校の跡地。遺体の中には3歳児も含まれていた。
カナダでは19世紀から20世紀にかけ、政府とキリスト教の教会団体が先住民寄宿学校を運営し、同化政策を行っていた。
カナダ政府は2008年に正式に、この同化政策について先住民に謝罪している。
一方、こうした学校を数多く運営していたキリスト教カトリック教会は、直接の謝罪をしていない。
そうした中でローマ教皇フランシスコ1世は6日、遺体発見に心を痛めていると発言。
カナダの政治家と宗教指導者らに対し、今回の発見の真相究明と、和解と癒しの道を見つけるために「決意を持って協力」するよう呼びかけた。
寄宿学校の生存者ジェラルディン・リー・シングースさんがBBCの取材に応じ、在校中に受けた虐待について語った。
【AFP=時事】カナダの先住民の代表が、先住民を同化させる目的で100年以上前にブリティッシュコロンビア(British Columbia)州に建てられた寄宿学校の跡地から215人の子どもの遺骨が発見されたと明らかにした。
先住民、トゥカムループス ・トゥ・ セフウェップェンフ(Tk’emlups te Secwepemc)のコミュニティーは、ブリティッシュコロンビア州カムループス(Kamloops)近くにある学校跡地で専門家による地中レーダーを使った捜索を行ったところ、この学校に在籍していた子どもたちの遺骨が確認されたと今月27日に発表した。
コミュニティーの代表を務めるロザンヌ・カシミア(Rosanne Casimir)氏は、3歳の子どもの遺骨も見つかったとして、「想像を絶する犠牲だ。口づてでは聞かされてきたが、(学校の管理者によって)記録されることは一度もなかった」と述べた。
同氏によれば、予備調査の結果は、来月に報告書で発表される。
「カムループス・インディアン・レジデンシャル・スクール(Kamloops Indian Residential School)」は、19世紀後半に設立された139の寄宿学校の中では最も大きく、一度に最大500人の生徒が在籍し、1890年から1969年まで、カナダ政府の意向でカトリック教会が運営していた。
こうした学校に強制的に入学させられた北米先住民やイヌイット、メティス(白人と先住民との間に生まれた人)の子どもたちは合計で約15万人に上り、校長や教師から肉体的・性的に虐待され、文化と言語を奪われた。
今日では、このような経験が要因となり、先住民社会では貧困率と自殺率が高く、アルコール依存症やドメスティックバイオレンス(DV)が多いとされている。【翻訳編集】 AFPBB News