中3女子の不登校、小学時代のいじめ調査…目の前でじっと見つめる心理的圧迫も

中3女子の不登校、小学時代のいじめ調査…目の前でじっと見つめる心理的圧迫も
読売新聞オンライン 2021/9/26(日) 6:09配信

 さいたま市立中学校に在籍する女子生徒(14)が長期にわたり不登校となっているのは、市立高砂小学校5〜6年時にいじめを受けたのが原因の疑いがあり、いじめ防止対策推進法の「重大事態」にあたるとして、市教育委員会が第三者委員会を設置し、調査を開始したことがわかった。女子生徒はいじめによる直接被害だけでなく、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとしており、中学3年の現在も教室に通えない状態が続いているという。

 さいたま市教委は、女子生徒側からあった調査の求めに応じて、第三者委員会を設置した。

 女子生徒側によると、女子生徒は小学5年だった2017年5〜6月、複数の同級生から繰り返し、下校時に突き飛ばされたり、髪の毛を引っ張られたりするなどした。母親からの相談を受けて担任教諭が注意すると、身体的ないじめはなくなったが、目の前に立ってじっと見つめられるなど心理的な圧迫を加えられるようになり、女子生徒は学校を欠席するようになった。校外学習や運動会の練習で登校した際にも持ち物を取り上げられ、近付いて見つめられるなどの行為があり、女子生徒側はいずれも学校側に伝えたという。

 18年2月には、校長と市教委職員らから「重大事態として調査する仕組みがある」と説明を受けたが、その時点では調査は諦めた。母親は「校長から『(女子生徒側の)負担が大きい』などと、暗に調査をしないよう言われたように感じた」と訴える。

 しかし、6年生になりクラス替えが行われても、他の生徒からの嫌がらせ行為は続き、女子生徒は満足に学校に通えない状態だった。女子生徒は「学校が守ってくれないという絶望感に大きなショックを受けた」という。

 不眠などの症状もあり、PTSDと医師に診断され、中学生になってからも「学校に行きたいという気持ちはあるが、教室には入れない」状態が続いている。両親は「泣き寝入りはしたくない。同じ思いをする子を出したくない」との思いで弁護士に相談し、調査を申し立てたという。

 市教委によると、第三者委員会は今後、関係者に聞き取り調査を行い、報告書をまとめるとしている。

 女子生徒の父親は「学校は信頼できるはずの場所なのに、小学5〜6年の2年間放置され、言葉にならない。どうしてこうなってしまったのか、調査をきっかけに答えが出て、少しでも時間が進むきっかけになれば」と話している。

◆重大事態=いじめ防止対策推進法は、いじめが原因で児童・生徒の生命や心身、財産に大きな被害が生じた疑いがある事案(1号事案)や、年間30日を目安に長期間の不登校になった疑いがある事案(2号事案)を「重大事態」と定めている。県教育委員会によると、県内の公立小中学校と高校などでは2019年度に41件あった。

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