山形大研究センター、文書偽造疑い 組合が架空請求指摘

山形大研究センター、文書偽造疑い 組合が架空請求指摘
毎日新聞 2021/12/1(水) 12:02配信

 山形県米沢市の山形大有機エレクトロニクス研究センターで、研究費の「不正流用」と「文書偽造」の疑いが出ている。同大の職員組合は、大学本部と関係機関に情報開示請求を行い、入手した文書から判明したとする内容を11月18日、会見で公表した。どのような疑惑なのか。開示文書と関係者への取材から検証する。【佐藤良一】

 「懐かしいなあ。これです、僕と(元産学連携)教授が手がけた研究は」。センターの研究室がまとめた2019年度の「研究活動報告書」を開いて、今年3月に同大を退職した元研究員が指さした。そのページには「マルチノズル型全方向インクジェット印刷技術」と研究テーマが書いてある。

 委託元は、文部科学省傘下の科学技術振興機構(JST)。組合は、この研究に携わった元産学連携教授の人件費約450万円と産業用ロボットなどの設備部品費約350万円が、国土交通省傘下の国立研究開発法人「海上・港湾・航空技術研究所」が委託した別のプロジェクトを通して架空請求されたと指摘する。開示文書で分かったという。

 これに対し、研究所は「研究資金は後払いのため、入金には至らなかった」と組合側に説明した。組合の不当労働行為対策担当・仁科辰夫教授は「研究費の使用に関して問題が発覚したため、入金が中止されたのではないか」と話す。

 さらに組合は、不正流用に伴う文書偽造も指摘。研究室が、センター長名とキャンパス長名で研究所に提出した「裁量労働者エフォート率実績証明書」「委託研究実績報告書」など4種の文書に研究スタッフや金額の虚偽があったという。

 研究所が毎日新聞に開示した同証明書には、研究従事者として「元産学連携教授」の肩書が記載されているが、氏名は黒塗りだった。ただ、組合が入手した「委託研究成果報告書」を見ると、肩書から個人が特定できる。研究従事者とされている元産学連携教授は「退職する20年9月まで、私の研究はJSTのプロジェクトだけだった」と証言する。

 一方、同証明書には研究代表者として「センター長・卓越研究教授 時任静士」とある。研究室の責任者でもある時任センター長は毎日新聞の取材申し込みに「現在調査中のため、個別対応しないよう大学本部より指示が出ている」とメールで回答。大学本部広報室は「慎重に調査している。終了した段階で公表も含め、何らかの対応をする」とした。

 仁科教授は「JSTの研究資金が足りなくなり、別プロジェクトからの流用で帳尻を合わせようとしたのではないか」と推察。「国立大学の教授は『準公務員』と見なされて『公文書偽造』と判断されたケースもある」と指摘する。

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ここ本当にろくでもないことしかしないな

以下、これまでの「山形大学有機エレクトロニクス研究センター」関連の記事

 しかし、大学の職員組合によると研究室は国側に対し、研究開発費としておよそ2300万円掛かったとする報告書を提出していたが、このうち、およそ350万円はプロジェクトとは関係のない産業用ロボットなどの設備費だという。さらに、プロジェクトに携わっていない研究員の人件費としておよそ450万円が記載されていたということだ。
 不正な記載は合計で800万円に上り、国側は現在、大学に対する事業費の交付を全額保留にしているいうことだ。

 山形大有機エレクトロニクス研究センター(山形県米沢市)の非常勤研究員らの雇用契約時に違法な対応があったと同大職員組合が発表した問題で、この研究員を含む男性職員2人がパワーハラスメントで精神疾患を発症したとする労災を米沢労働基準監督署に申請したことが2日、組合などへの取材で分かった。労基署は事実確認を進めており、早ければ年内にも結論を出す見通し。

 大学が研究実績を資金拠出機関に報告する20年4〜6月分の書類に、自身が関わっていない業務が記されていることに気付き、指摘したが、上司の担当教授らから押印を強要された。
 組合は、職員の賃金に目的外の研究費が流用されたり、本人の意に反して流用に加担させられたりした疑いがあるとして、問題視している。
 不正を指摘した後、職員は担当教授から雇用打ち切りをほのめかすパワーハラスメントを受けた。パニック障害となり、20年8月に退職したという。
 組合は20年8月から21年3月にかけ、大学やJST、海上・港湾・航空技術研究所に公益通報した。大学は通報内容などを調査するため、20年末に調査委員会を設置したが、調査結果はまだ報告されていない。同大総務部は取材に「事案の詳細を把握しておらず、コメントできない」と答えた。

 山形大職員組合は30日、同大有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)に勤務する男性研究員と大学側が雇用契約を結ぶ際、雇用条件の変更を知らせないまま強制的に署名させるなどの違法な対応があったと発表した。賃金が、従事した研究とは異なるプロジェクトの資金から流用されていたとも主張した。

去年6月、山形県米沢市の山形大学工学部で起きた火事で、米沢署は12日、放火未遂の疑いで元研究員の男性を書類送検しました。男性は、既に死亡しています。
現住建造物等放火未遂の疑いで書類送検されたのは、山大工学部の元研究員の男性です。
警察によりますと元研究員は、去年6月、山大工学部の「有機エレクトロニクス研究センター」の研究室内でゴミに火をつけ、コンテナや壁の一部を損傷させた疑いです。この火事の数日後、元研究員は自殺したとみられ、県内で遺体で見つかっていました。
山大の職員組合によりますと元研究員は、教授や准教授などから「従わなければクビにする」と暴言を浴びせられるなど、パワハラを受けていた疑いがあるということです。

 山形大有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)でパワーハラスメント疑惑を同大職員組合が発表した問題で、被害を申し立てた男性研究員への未払い賃金について、同大は16日、控除額を除く超過勤務手当として計約140万円を17日に支払うと明らかにした。
 関係者によると、支払われるのは男性が着任した2019年5月から20年12月までの、未払いとなっている約540時間分。今月分の給与と合わせて銀行口座へ振り込む。
 男性は勤務簿が改ざんされたなどとして、類似の被害を訴える同僚3人と共に20年8月、同大へパワハラ被害を申し立てた。米沢労働基準監督署が同10月に是正勧告を出したものの大学は約2カ月にわたって対応せず、労基署が早期の対応を求めて大学へ口頭で指導していた。

 山形大有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)でパワーハラスメントがあったとされる問題で、大学の新たな調査委員会が正式に発足し、近く初の聞き取りを行うことが14日、分かった。同日の定例記者会見で玉手英利学長が明らかにした。

 山形大有機エレクトロニクス研究センター(山形県米沢市)でのパワーハラスメント疑惑を同大職員組合が発表した問題を巡り、被害を申し立てた男性研究員に対し未払い賃金があるとして、米沢労働基準監督署が今月、同大に早期に是正勧告に対応するよう口頭で指導したことが21日、分かった。職員組合が明らかにした。

 山形大の有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)でパワーハラスメントが発生していたと同大職員組合が11月に発表した問題を巡り、学内に設置した調査委員会の聞き取り調査が進まず頓挫し、大学側が外部の専門家ら第三者による調査委に設置し直すことが19日、関係者への取材で分かった。聞き取りが2カ月以上行われなかった実態も明らかになった。

 山形大の有機エレクトロニクス研究センター(山形県米沢市)でパワーハラスメントが発生していたと同大職員組合が発表した問題を巡り、玉手英利学長は5日の定例記者会見で「学長として責任を感じている」と述べた。被害の申し立てを受けて9月、特別対策委員会を学内に設置したことも公表した。

 山形大職員組合は2日、山形大有機エレクトロニクス研究センター(米沢市)で、複数の教授らが4人の男性教授らに対して、着任前に約束した内容とは異なる業務をさせるなどのパワーハラスメントを行っていたと発表した。【日高七海】
 組合によると、パワハラを行っていたのは同センターに所属する教授ら4人。被害に遭った男性教授の1人は、当初、豊富な研究費があることや、ベンチャー企業設立に関わる補助などの業務があると誘われ、昨年11月に採用された。だが、実際にはベンチャー企業設立の責任を負わされ、業務が遅れると、「こんなに遅れていたら来期は雇用できない」などと告げられたという。
 他にも、国や企業から研究費として獲得した財源を研究とは関係の無い設備の購入に流用したり、実際の研究者が正当な評価をされず、一部の教授らが成果を上げたように報告したりするなどの行為もあったという。
 また、今年6月の同センターでの火災のあと、パワハラを受けていた別の男性研究員が、その数日後に亡くなっていたことも明らかになった。男性は機能不全の機械の運用などを任されていた。

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