特別支援学級で体罰・暴言 検証委「学校と姫路市教委に重大な問題」
毎日新聞 2021/12/24(金) 13:51配信
兵庫県姫路市立城陽小学校の特別支援学級で担任を務めていたが児童に「生きる価値なし」などの暴言や体罰を繰り返した問題で、原因を究明する検証委員会は24日、報告書を西田耕太郎・市教育長に手渡した。報告書は3年以上にわたる34件の体罰・暴言について「人権感覚に疑問を持たざるを得ない」と指摘。適切な対応を取らなかった管理職と市教委について「重大な問題があった」と批判した。
市教委は11月に弁護士、臨床心理士などでつくる検証委を設置。男性や校長、教頭ら学校関係者に加え、保護者にも聞き取りをし、男性が体罰・暴言を繰り返した理由と問題が長期化した原因を探り、A4判60ページにまとめた。
報告書は暴言・体罰は「(児童が)精神的苦痛を受けた以上に人格形成や成長に強く影響を及ぼした」と批判。男性について特別支援学級の教員としての知識や経験不足を指摘した。男性が保護者から「威圧的な雰囲気がある」と言われていたことにも触れ、「自閉症や情緒障害のある児童を指導するのに適任だったか強い疑問がある」とした。
男性をサポートする支援員の女性職員は2018〜21年度に計7回、管理職に問題を報告した。だが校長、教頭ら計4人は「厳しい指導」などと抽象的に捉え、具体的に調べなかった。この点について報告書は「学校、教育委員会の体制の問題。体罰・暴言への認識が甘かった」と批判。「管理職に積極的に報告させる体制や安心して情報提供する制度が不足している」と、市教委に注文をつけた。
校長らは男性を「真面目」「熱心な教員」などと評価していたことに触れ、「体罰・暴言をするはずがないとの思い込みがあったと考えられる」と背景を分析。校内で同僚が男性の問題行動を目撃していたとし、「『熱心な指導』という曖昧な概念で『ぎりぎりセーフ』と扱われるような傾向があった」とした。
県教委は9月、担任する児童6人に「生きる価値なし。死ぬしかない」など計34件の暴言や体罰を繰り返したとし、男性を懲戒免職処分とした。
◇「責任を果たせていなかった」校長謝罪
暴言・体罰を事実上、放置した学校の管理職について報告書は「事なかれ主義」と指摘した。記者会見した市立城陽小の湊泰宏校長(55)は「責任を果たせていなかった」とし、自身の対応を謝罪した。
報告書は問題が長期化した原因の一つに男性の精神状態への配慮不足を挙げた。心療内科に通院し、投薬治療を受ける男性の状況を把握していた湊校長は「毎日、顔を合わせているので様子を見るだけで安心していた。通院状況や体調を本人に聞くべきだった」と反省した。
同校の特別支援学級は2クラスあるが、学級担任をサポートする支援員は1人だけで、報告書は「体制が十分ではない」とした。支援員の増員について問われた西田耕太郎・市教育長は「適正な配置を心がける」と述べるにとどまった。
報告書は市立の小中学校などに配布し、2022年1月初旬に市のホームページに公開する予定という。【後藤奈緒、宮本翔平】