いじめ相談内容、保護者の意向に反し学校に漏らす 西宮市教委

いじめ相談内容、保護者の意向に反し学校に漏らす 西宮市教委
毎日新聞 2022/3/2(水) 10:45配信

 兵庫県西宮市教委は1日、市立小学校での集団いじめに対する学校側の対応について保護者から相談を受けた際、保護者の意向に反して学校側に相談内容を漏らすミスがあったと発表した。相談を受けた臨床心理士が保護者の意向を十分に確認せず、市教委内部での情報共有も不十分だったことが原因としている。市教委は保護者から抗議を受けて謝罪した。【稲田佳代】

 市教委によると、集団いじめに遭っていたのは小学6年の男児(12)。触った物を「汚い」と消毒されたり、悪口を言われたりしていた。2021年10月14日に男児が担任に相談し、翌日学校が市教委へ報告。児童らへの聞き取り調査を進めると、いじめは5年生の頃から起きており、6年生の10月以降はクラスの児童28人中26人が関与する集団いじめに発展していたことが分かった。

 ◇確認、情報共有の不足

 保護者は、学校による調査や加害児童らの謝罪に不信感を持ち、11月4日に市のいじめ相談ダイヤルに連絡。学校側には秘密にするよう求めたが、相談を受けた臨床心理士は「学校と連携して対応した方が早期解決につながる」と説得し、保護者が学校との情報共有を承諾したと思い込んだ。

 臨床心理士から口頭で報告を受けた指導主事は、緊急を要すると判断し、その日のうちに学校へ連絡。対応を指導したことを保護者に報告したところ、「話が違う」と指摘を受けた。さらに「相談内容が漏れた後、学校の対応が消極的になった」と訴え、市教委の担当者が翌5日に自宅を訪問して謝罪した。

 市教委は、保護者への確認不足と、担当者間での情報共有の不足があったと認め、今後は保護者の意向確認の徹底や、複数の担当者で対応方法を確認するとしている。

 男児は不眠や幻聴を訴え、11月から学校に通えておらず、市教委はいじめ防止対策推進法に基づく重大事態と認定した。再度調査を実施し、男児が卒業する22年3月末までに調査結果や再発防止策をまとめる予定。

 ◇いじめなどの相談窓口

・24時間子供SOSダイヤル=0120・0・78310(なやみ言おう)、年中無休、24時間

・児童相談所全国共通ダイヤル=189(いち早く)、年中無休、24時間

・子どもの人権110番=0120・007・110、平日午前8時半〜午後5時15分

・チャイルドライン=0120・99・7777、毎日午後4〜9時(18歳まで)

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