ナチスの亡霊に囚われたドイツで台頭した「性の解放運動」の歪な影

ナチスの亡霊に囚われたドイツで台頭した「性の解放運動」の歪な影
小児性愛すらも「自由な性」のひとつ
子供たちを小児性愛者に預けた「ケントラーの実験」(3)
クーリエ・ジャポン 2022.4.2

ケントラーの研究とキャリアを形作ったのは、支配的な父親が子供にダメージをもたらすという考えだった。

彼の幼い頃の記憶のひとつ。ある春の日、森の中を父親に追いつこうとして懸命に歩いていた。1983年、そのときのことを育児雑誌に寄稿したケントラーは、「私のただひとつの願い。それは、父に私の手を取ってほしいということだった」と書いている。

だが第一次世界大戦に中尉として従軍した父親は、ケントラーいわく「厳格な教育」を信奉していた。彼の両親が実践していたのは、子供の教育に関する権威でベストセラー本の著者でもあり、「ナチズムの精神的な先駆者」と呼ばれたドイツ人医師、ダニエル・ゴットローブ・モーリッツ・シュレーバーの教えだった。

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