名古屋大教授が研究費不正受給 7年で1131万円「一部私的流用」
毎日新聞 2022/10/31(月) 18:26配信
名古屋大を運営する東海国立大学機構は31日、同大未来材料・システム研究所の八木伸也教授(56)=ナノ材料科学=が2014年度からの7年間に292件の出張を虚偽申請して研究費約1131万円を不正受給し、一部を私的流用していたと発表した。14年度より前も不正をしていた可能性があるが、八木教授は「記憶が定かでない」と話しているという。同機構は八木教授を処分する。
21年3月に通報窓口に情報提供があり、同機構の中東正文・監査室長をトップとする調査委員会が、文書保存期間内である14年度以降の書類の調査や教授、学生らからの聞き取りを進めてきた。
その結果、実態のない出張の旅費を請求していたほか、自家用車で行ったのに新幹線を使ったと偽ったり、日帰りなのに宿泊代を請求したりしていたことが判明。学生らの出張についても八木教授が虚偽申請し、過大請求で得た分を学生から受け取っていたという。
国は鉄道利用や宿泊費の領収書の提出を不要とする通知を出している。このため、金額の根拠となる書類がなく、八木教授が私的流用した金額は定かでないが、食品や研究室で使う電子レンジ、パソコンの購入などにあてたと説明しているという。判明分は全額返金した。支出の原資は科学研究費助成事業(科研費)などの公金や企業からの共同研究費だった。
記者会見した高橋宏治・同機構事務局長は「多くの方に迷惑をおかけして申し訳ありません」と謝罪した。今後は研修などでコンプライアンス(法令順守)の徹底を図るとしている。【川瀬慎一朗】