「Zカップ」の人工乳房を着けて授業をした高校教師、大揉めの末に休職

「Zカップ」の人工乳房を着けて授業をした高校教師、大揉めの末に休職
ニューズウィーク日本版 2023/3/6(月) 20:53配信

<生徒のSNS投稿をきっかけに保護者が声をあげた。この教師は、問題の画像に写っている男性が自分ではないと主張し、同時に、自分は珍しい病気で胸が普通より大きいと話す>

推定「Zカップ」の人工乳房を着け授業を行っていたとされ、物議を醸していた教師が休職している。

カナダのオンタリオ州オークビルの公立トラファルガー高校に勤務する教師カイラ・ルミューは、授業中に人工乳房を着けていたという。普段は人工乳房をつけずに生活していると、近隣住民は話す。

保護者たちは、ルミューの胸があまりにも目立ちすぎることを問題視して、しばらく学校側と協議を行っていた。渦中のルミューは2月末から有給休暇を取得していると、ニューヨーク・ポスト紙が伝えている。

問題視されるきっかけになったのは、生徒のSNS投稿だった。昨年9月に拡散された写真には、かなり大きなバストが目立つタイトな服装で授業をするルミューが写っていた。

違和感を覚えた保護者らが教育委員会へ説明を求め、オンタリオ州のスティーブン・レッチェ教育大臣も会見を行う騒ぎに発展。レッチェ大臣は「オンタリオ州では一人一人の個性やアイデンティティを尊重するが、生徒たちが学ぶ環境を整えることも大切だ」とコメント。

収拾がつかないまま議論は長引き、昨年12月には苛立った保護者側から、解決できなければ法的手段も辞さないという声が上がった。しかし、オンタリオ州人権コードに準拠していないのではないかという懸念から、具体的な取り組みは却下された。

今年1月に教育委員会は、スタッフの服装規定を3月1日までに改めることを発表し、教師が「適切かつプロフェッショナル」な外見を持つための方針作りに取り組むことに同意した。

州教育大臣が教育委員会を批判
ルミューを休職させる決定は、ある記者が尾行した結果、ルミューが授業中だけ人工乳房を装着し、勤務中以外は男装しているように見えるという情報が拡散された直後に下された。

レッチェ州教育大臣はじめ複数の州議会議員が、教育委員会は「生徒の利益と安全を第一に考えず、責任を放棄した」と批判したため、この教師は停職処分になったとThe Sun紙は報じている。

ある保護者は教育委員会に対し、「学校環境で提示されるアイデンティティと表現の形態は、(中略)子どもに対する保護行為と照らし合わせて精査されなければならない」と指摘した。

「現在、ルミューが指導するクラスはないが、ハルトン地区教育委員会による雇用は続いている」と、学校に雇われたスポークスマンはトロント・サン紙に状況を説明した。

本人は何を語る?
ルミューは、問題の画像に写っている男性が自分ではないと主張し、同時に、自分は珍しい病気で胸が普通より大きいと語る。

「これが私。これが私の姿よ。あなたは私の近所の人たちと話をしているようですが、彼らが話していることは辛辣で、真実ではない。私はいつもこのままの姿で出かけている」

2021年にホルモン補充療法を開始したと付け加えた。ルミューは性別を「移行中」であり、自分は、トランスジェンダーではなく、インターセックスとして生まれたと話す。

ルミューは診断を受けたことはないとしながらも、自分の大きな胸は、胸が大きくなり続ける病気「ギガントマスティア(gigantomastia)=巨大乳房症」によるものだと、ニューヨーク・ポスト紙に説明している。

「教育委員会の指示には従う」らしいいが、「私の服装に問題があるとは思っていない。他人の個人的な意見です。私はプロらしくない格好をしてきたとは思っていない」と言い切る。

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