「下腹部から野菜片のようなものが…」 教師が重度障害6歳女児にイタズラの疑い、書類送検されても教壇に立ち続けていいのか
デイリー新潮 2023/8/14(月) 5:56配信
障害のある子どもが通う特別支援学校の、幼き児童が何者かに性的ないたずらをされた。これは「準強制わいせつ事件」として当局を動かすところとなったが、刑事事件における“無罪推定”の原則が安全と安心を脅かす、皮肉かつ深刻な事態となっている。
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発端は昨年5月12日、中国地方の特別支援学校に通う女児(当時6歳)の下腹部に生じた異変だった。女児の母親(35)が振り返る。
「その日、娘が高熱を発したため夕方に市民病院へ連れて行きました。帰宅後、娘にごはんを食べさせ、夜の8時半ごろにオムツを交換したんです。すると、下腹部から“野菜片”のようなものが、それこそチュルッとばかりに出てきて……」
一家は祖母(55)と母親と娘の三人暮らし。慌てた母親は祖母を呼び出し、一緒に確認した。便ではない異物と判断して再度、娘を病院で受診させることに。
「医師も“ちょっと野菜片みたいだね”って。翌日、婦人科で下腹部を洗浄してもらうと、さらに野菜片が出てきたのです」
警察の腰は重く…
異変から3日後、母親は警察を訪れ、証拠となる異物をオムツとともに提出。
「警察からは“鑑識の結果、特定できたのはゴマだけ。残りは野菜片のようなものとしか言えない”と伝えられました。また、オムツからは娘のDNAしか検出されず、犯人を特定できる情報は得られなかったとも。娘の障害者手帳の等級は1級。知的障害の程度も『(A)』という一番重たいものです。自分ではオムツの上げ下げもできない。性犯罪に遭ったと訴えるのだって不可能なのに……」(同)
こうした状況に事件化は難しいと判断したか、県警は腰が重そうだったが、
「7月の終わり、夏休みに入ったところでやっと警察から連絡があり“先生方に事情聴取を始めます”と告げられました」
さらに季節は変わって冬になり、事態に動きが。
「娘のクラスを受け持つ二人の先生のうち、一人の男性教師の自宅に家宅捜索が入ったと聞きました。押収物から娘のDNAは出なかった、とも言われました」
クラス担当を継続
結局、県警はこの男性教師の身柄を取ることはせず、「準強制わいせつ罪」の容疑で書類送検した。現在は検察の判断待ちといった状況だが、何より問題は、
「その男性教師が、今年の3月まで娘のクラスの担当を続けていたことです。学年が上がって今年度から担当こそ外れていますが、彼は変わらず学校で教師を続けています」
むろん無実の可能性もあるが、それは、準強制わいせつ罪の嫌疑のかかった教師が、今も女児と接触できることを意味する。母親が案じるのも無理はない。
「学校側からは“民間企業だって書類送検の段階では動かない”と言われてしまいました。せめて娘とその教師が二人だけになるような空間は作らないでほしいと先生方にはお願いし、受け入れてはもらえました。ですが、再発防止のため監視カメラの設置を求めても、“カメラの設置は人権上、問題がある”などと撥ねつけられたんです」
被害女児の人権は…
ならば、日常が脅かされている被害女児の人権はどうなるのか。性犯罪に詳しい上谷さくら弁護士が言うには、
「刑事事件では疑わしきは罰せずという“無罪推定”の原則が働くため、本件は極めて難しいケースにあたります。とはいえ、お母さんの立場に立てば心配が募るのも当然です。少なくとも、その教師と児童が顔を合わせかねない状況は変える必要があるでしょう」
さらに、と上谷弁護士。
「学校側は民間企業を引き合いに出し、検察の処分が決まるまでは対応ができないと説明したとのことですが、それはおかしい。たとえば民間の塾なら、教員の配置換えなどはるかにシビアな対応を取るはずです」
県の教育委員会は、
「(検察への)書類送付の有無を含め、個人情報保護の観点から第三者に(事態について)開示することはできません」
わいせつ事案の嫌疑を前に、こうしてお役所的対応に終始する彼らの“組織の論理”こそ、最大の不安要因なのだが。
「週刊新潮」2023年8月10日号 掲載