所沢市の独自ルール「育休退園」、新市長が廃止表明…過去には退園取り消し求める行政訴訟も
読売新聞オンライン 2023/11/1(水) 12:57配信
埼玉県所沢市の小野塚勝俊市長は10月30日に開いた就任記者会見で、市内保育園の独自の運用ルール「育休退園」の廃止を表明した。2015年度の導入時に大きな議論となり、退園取り消しを求める行政訴訟も起きたが、この運用には保育が必要な待機児童向けの枠を確保する狙いがあった。今年4月時点で埼玉県内最多だった待機児童の解消に向け、小野塚市長は早急な対応が必要になる。
小野塚市長は会見で「(保護者が)意図していない、強制的な育休退園はしない」と述べ、保護者の意向を最優先する考えを強調した。
育休退園は15年度に当時の藤本正人市長が導入。しかし、同6月以降、退園の差し止めや執行停止などを求め、退園対象の一部世帯が提訴する事態になった。訴えた14世帯のうち、訴訟の過程で8世帯は引き続き保育が認められ、執行停止が認められた3世帯は元の保育園に戻った。残る3世帯は市の決定を受け入れ、訴訟は終結した。ただ、藤本前市長の方針で運用は続けられていた。
小野塚市長は市長選の期間中、育休退園の廃止とともに、待機児童の解消策として保育園の新設による保育枠の拡大を唱えてきた。今後、新設に必要な予算や保育士の確保といった課題と向き合うことになりそうだ。
会見では、公約の柱とした中核市移行についても「プロジェクトチームを設け、一日も早く行う」とし、早期実現に意欲を見せた。移行に伴って移譲される権限のうち、まずは自前の保健所設置を進めていく考えだ。同様に公約に掲げた、18歳までの医療費と小中学校の給食費の無料化も、24年度予算案に盛り込む考えを示した。財源については「まずは予算組み替えで対応したい」と述べた。市議会12月定例会には、自らの給与を3割カットする条例案を提出する方針も示した。
小野塚市長はこの日に初登庁した。幹部職員向けの訓示では「公約を果たすために市長の任をいただいた。協力をいただきたい」と呼び掛けた。
◆育休退園=下の子が生まれて保護者が育児休業を取得した場合、保育園に通う上の子が3歳未満だった場合は退園してもらうという運用ルール。市によると、これによる退園児は年間100人台で推移してきた。育休明けには希望する園に入れるよう保証したが、子育て世帯からは「保育の中断で混乱する」などと反対意見もあった。