放課後デイ中1死亡、代表ら再逮捕 障害特性への注意怠った疑い
毎日新聞 2023/12/12(火) 11:00配信
大阪府吹田市で2022年12月、障害のある子を預かる放課後等デイサービス施設に通っていた中学1年の男子生徒(当時13歳)が川で溺れて死亡した事故で、府警は12日、施設「デイサービスアルプスの森」の運営会社代表、宇津慎史(うづしんじ)容疑者(60)=別の生徒への暴行容疑で逮捕=と、兄で施設幹部の雅美容疑者(65)=同=を業務上過失致死の疑いで再逮捕した。2人の認否は明らかにしていない。
捜査1課によると、亡くなったのは清水悠生(はるき)さん=同府豊中市。清水さんは22年12月9日、通学先の特別支援学校から送迎車に乗って施設駐車場に着き、車から降りた直後に走り出して行方不明になった。近くの川に飛び込んだとみられ、同16日に川で遺体が見つかった。
清水さんには突然走り出したり、水に強いこだわりを見せたりする特性があった。一方で駐車場には当時、送迎車を運転する男性(48)しか施設職員がいなかった。施設側のメモでは、男性が助手席の荷物を取っている間に清水さんが駐車場から飛び出したと記されているという。
府警は、清水さんの車の乗降時には職員2人で腕をつかむ必要があったと判断。両容疑者が清水さんの両親から同様の要望を受けていたのに、職員1人での対応を常態化させていたとみている。運転手の男性についても近く、業務上過失致死容疑で書類送検する。
両容疑者は23年11月、施設に通っていた当時中学3年の男子生徒に対する暴行容疑で逮捕され、大阪地検が12日に暴行罪などで起訴した。
放課後等デイサービス施設は全国に約2万カ所(23年4月現在)ある。山口市や豊中市の施設でも過去に子どもが施設外に飛び出し、池で遺体が見つかる事故が起きている。
関西福祉大の谷口泰司教授(障害者福祉論)は「障害児支援のノウハウに乏しい営利法人の参入も多く、職員の育成ができていない施設がある。人材不足の施設もあり、国は職員の報酬を増やすなどして人材が定着するよう制度を見直すべきだ」と指摘する。【洪玟香、林みづき、土田暁彦】