茨城・取手のいじめ自殺、不適切指導を理由とした担任の処分取り消し命令…水戸地裁「懲戒事由当たらず」

茨城・取手のいじめ自殺、不適切指導を理由とした担任の処分取り消し命令…水戸地裁「懲戒事由当たらず」
読売新聞オンライン 2024/1/13(土) 8:03配信

 茨城県取手市で2015年、市立中学3年の女子生徒がいじめで自殺した問題を巡り、不適切な対応や指導を理由に処分を受けた当時担任だった女性教諭が、県に対して処分の取り消しを求めた訴訟の判決が12日、水戸地裁であった。三上乃理子裁判長は「原告の行為は懲戒事由に当たらず、違法な処分」として、教諭の訴えを認め、処分の取り消しを命じた。

 判決によると、県の調査委員会が19年3月、女子生徒の自殺にいじめとの因果関係があったとする報告書を公表。これを受け、県教育委員会は同年7月、教諭が指導や言動で女子生徒に不安感や焦燥感を与えたなどとして、教諭を停職1か月の懲戒処分としていた。

 訴訟で教諭は、県教委が懲戒処分の理由に挙げた指導に不適切な点はなく、不当な処分だと主張。県側は、教諭の行為は女子生徒に著しい精神的苦痛を負わせた不適切な指導で、地方公務員法で定める懲戒事由に当たると反論していた。

 三上裁判長は、当時の教諭の指導はいずれも、県側の訴える信用失墜行為や懲戒事由には該当しないと指摘。「(処分の)取り消しは免れない」と結論づけた。

 判決を受け、教諭の代理人弁護士は「主張が認められ、ほっとしている。県は判決を重く受け止めてほしい」と語った。県教委の森作宜民教育長は「主張が認められず遺憾。弁護士とも相談して早急に対応を検討する」とコメントした。

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