高2強豪バスケ部主将、顧問教諭の体罰翌日に自殺
スポーツ報知 2013年1月9日(水)7時4分配信
大阪市教育委員会は8日、市立桜宮高校(大阪市都島区)のバスケットボール部で主将を務めていた2年生の男子生徒(当時17歳)が、同部顧問の男性教諭(47)から体罰を受けたとの手紙を残し、昨年12月23日に自殺したと発表した。同校は全国高校総体(インターハイ)に最近5年で3度出場した府内屈指の強豪で、男性教諭は男子U―16(16歳以下)日本代表のアシスタントコーチにも招集されていた。市教委は体罰が常態化していた可能性があるとみている。
大阪有数のスポーツ校で悲劇が起こった。市教委によると、生徒は昨年9月に男子バスケットボール部の主将に就任。12月23日午前6時半ごろ、自宅の自室で制服のネクタイを利用して首をつり、死亡しているのが見つかった。両親への感謝や謝罪を表す内容の遺書のほかに、顧問宛ての手紙も書き残していた。手紙には、顧問から厳しい指導や体罰を受けていたことを告白する文章があり、主将としての責任に苦しむ様子もつづられていた。
顧問は、佐藤芳弘校長や市教委に対し、自殺の前日に同校で練習試合を行った際、試合中のミスを理由に平手で生徒の顔を叩いたことを認めた。佐藤校長は「生徒が亡くなった昨年12月23日に、顧問の教諭から電話で『叩きました』と聞いた。体罰かな、と思った」と経緯を説明した。
市教委によると、生徒の顔は自殺前の体罰で腫れ上がっており、通夜で母親は「遺体を見てほしい。これは体罰ではないのか」と顧問に迫った。「本当に申し訳ありません」と、顧問はその場で謝罪した。生徒は22日は午後9時半ごろに帰宅し、母親に「お弁当おいしかった。今日もかなり殴られた」と話したという。市の外部監察チームが今後、体罰と自殺の因果関係を調べる。
顧問は保健体育科の教諭として1994年に採用され、同校には18年間勤務。2008、10年にインターハイ大阪府予選を制するなど、指導者としての実績を残した。昨年8月には日本バスケットボール協会が編成する男子U―16代表にも、アシスタントコーチとして初招集され、同月と10月には東京での強化合宿に参加した。協会によると、合宿中の体罰は報告されていない。一方、市教委によると2011年9月にも「醜い体罰が横行している」との情報が市の公正職務審査委員会に寄せられたが、学校の調査で「体罰はなかった」と結論づけていた。
大阪府警は8日までに顧問から事情を聞いた。府警によると、手紙や遺書のほかに生徒が「部活動が負担になり、顧問の指導が苦しかった」との趣旨を記したメモもあり、顧問は聴取に「部活動が負担になっていたのだろう」と説明。府警は今後、顧問から当時の状況を聞き、体罰の有無や自殺の動機などを調べる。
大阪府内の自宅で取材に応じた生徒の父親はインターホン越しに「報道で(事件が)出たばかりで、気持ちの整理がついていない。今はコメントは差し控えたい」と張り詰めた声で話した。