<大阪・桜宮高>体育系2科の入試中止決定 市教委
毎日新聞 2013年1月21日(月)18時18分配信
大阪市立桜宮高校でバスケットボール部主将の男子生徒(当時17歳)が顧問から体罰を受けた翌日に自殺した問題で、市教委は21日、橋下徹市長の要請に基づき、同校で2月に実施予定だった体育系2科の募集と入試の中止を決めた。自殺という重大な結果を招いたことを重視し、体罰の背景を検証する必要があると判断した。ただ受験生への影響を抑えるため、2科の定員を普通科に振り替えて募集、同内容、同日程の入試を新たに実施する。
市教委はこの日、教育委員会会議を開き、委員5人のうち4人が、体育科(定員80人)とスポーツ健康科学科(同40人)の入試中止に賛成した。同時に、試験科目や配点、日程が2科と同じ普通科(同120人)の入試を、3月に実施する従来の普通科(同160人)とは別に実施することも決めた。
定員を振り替える普通科は府内全域から募集するうえ、スポーツに特色のあるカリキュラムを組むことにしており、体育系2科に近い。さらに、入学後に体罰の実態調査や教育方針の見直しなどが終われば、2科への編入も検討する。
橋下市長は「教育的な視点から素晴らしい決定をしてくれた。体育科の在り方も含め、再生に向けて改革が始まる」と話した。
また、橋下市長は会議に先立つ21日午前、同校を訪れ、全校生徒約840人に「クラブで勝つより大事なことがある。立ち止まって考えてほしい」などと入試中止への理解を求めた。
一方、同校運動部の元主将ら8人は21日夕、市役所で記者会見。「市長から入試中止について納得できる説明はなかった。もっと私たちの声を聞いてほしい。何の関係もない中学生が巻き込まれることに納得できない」と話した。市立中学の校長会や、同校の保護者、市議会などからも入試実施を求める声が上がっている。【津久井達、熊谷豪、原田啓之】