浜名湖ボート転覆:中1死亡 学校側の過失も認定 元校長ら6人書類送検 /静岡
毎日新聞 2013年2月13日(水)11時24分配信
10年6月に浜松市の浜名湖で手こぎボートが転覆し愛知県豊橋市立章南中学1年の西野花菜(かな)さん(当時12歳)が水死した事故で、静岡県警は12日、引率した学校側の過失も認め、当時の男性元校長(62)=豊橋市=を含む計6人を業務上過失致死容疑で静岡地検浜松支部に書類送検した。西野さんの父友章さん(53)は豊橋市役所で記者会見し、「元校長本人、豊橋市、市教委もしっかりと(書類送検を)受け止めてほしい」などと述べた。【平塚雄太、荒木涼子】
事故は10年6月18日午後3時25分ごろ、浜松市北区三ケ日町佐久米沖の浜名湖北岸で、風雨の強まる中、静岡県立三ケ日青年の家の男性元所長(55)=東京都杉並区=が西野さんの乗ったボートをえい航中に起きた。県警は元校長、元所長と同施設の指定管理者「小学館集英社プロダクション」(東京都)の女性社員(31)=浜松市=の3人について、天候悪化にもかかわらず、訓練中止などの措置を講じなかったとする過失を指摘。また同社の男性社員(61)=三重県菰野町=と、静岡県教委の女性元社会教育課長(59)=浜松市=と同課の男性元主査(46)=静岡市=の3人は、マニュアルを作成するなどの安全確保措置を怠ったとした。
県教委の安倍徹教育長は「改めて西野さんや県民の皆様におわびする」と謝罪し、「設置者として何をすべきか確認し、二度と事故が起こらないようにしたい」と述べた。
小学館集英社プロダクションは、「社員個人でなく会社の責任と考えている。改めて深くおわびするとともに、書類送検を厳粛に受け止め、捜査に協力し一層の再発防止に努めたい」とコメントした。
◇「花菜を忘れないで」 西野さんの父、再発防止願い続け
死亡した西野花菜さんの父、友章さんは記者会見を開き、市が再発防止を約束している中で元校長らが書類送検されたことに対し、「改めて何らかの形で市に対応を確認したい」と語った。
また、事故の「風化防止を言い続けることに変わりはない。遺族として花菜のことを忘れられるのが一番つらい」として、「事故の事実や遺族の思いなどを冊子にまとめ、市内の各小中学校に置いてもらえるようにしたい」と訴えた。
友章さんはこの日、花菜さんの祭壇に向かって「校長先生が二度と事故を起こさないように、先生として取り組んでほしいね」と語り掛けたという。
書類送検を受け、豊橋市の加藤正俊教育長は「内容を確認していないので、コメントはできない」との談話を発表した。【丸林康樹、清藤天】
2月13日朝刊