「調教されてる動物と一緒や」…体罰問題報告書

「調教されてる動物と一緒や」…体罰問題報告書
読売新聞 2013年2月14日(木)10時57分配信

 大阪市立桜宮高の体罰問題で、市外部監察チームがまとめた報告書の要旨は次の通り。

 ◆認定事実

 小村教諭は昨年12月18日、他の高校や大学女子バスケ部との練習試合で、相手選手に飛ばされたり、ボールを奪われたりすることがあった被害生徒に「なんで女に負けるねん」などの気持ちから、顔を平手で数回たたいた(本件暴力〈1〉)。

 試合後、被害生徒にルーズボールの練習をさせたが、近くに投げているのにボールに飛びつこうとしないため、顔を平手で1、2回たたいた(本件暴力〈2〉)。

 昨年12月22日には、他の高校との練習試合で、被害生徒がルーズボールを取りに行かない態度を見せたため、ベンチに呼び寄せた。「(相手選手を)なんで意識しないのか」と言ったが、生徒が黙っていたので、顔を平手で4、5回たたき、さらに同様の問いかけにも黙っていたので、平手で4、5回たたいた。試合再開後も、ベンチの横に移動させ、「やるかやらんのかどっちや」と言いながら、側頭部あたりを平手で5〜7回たたいた(本件暴力〈3〉)。

 また、試合に戻った被害生徒が、タイムアウト時に走らずにベンチに戻ってきたため、顔を平手で3回たたいた(本件暴力〈4〉)。この時、「たたかれてやるのは、動物園やサーカスで調教されてる動物と一緒や」と言った。

 認定事実は、小村教諭自身が認めた内容だ。被害生徒の母親の説明とは食い違いがあるが、他の指導者や部員らは「たたかれるのは見たが、回数は覚えていない」などと述べる。母親の説明を否定するものではないが、前記の回数を認定した。

 母親は18日の暴力について、口の周りに血の跡があり、鼻が腫れていたと述べている。18日に加えられた暴力は強度なものだったと推認される。

 ◆暴力についての評価

 教育的懲戒にあたっては、いかなる場合も身体への実力行使は許されない。本件暴力〈1〉は、指導に沿うプレーをさせるためだったが、他の部員の模範プレーを見て学ばせるなど様々な方法があった。指導者が求める習熟度と、部員の習熟度が合致しないことは起こりうることで、暴力で解決することは許されない。小村教諭は「なんで女に負けるねん」という心情から暴力を加えており、怒りにまかせて暴力を加えたとの評価を免れない。本件暴力〈1〉を正当化する余地は皆無で、本件暴力〈2〉も同様だ。

 本件暴力〈3〉では多数回たたいており、執拗(しつよう)だ。本件暴力〈4〉も、走らずにベンチに戻ってきたことへの制裁だったと評価せざるを得ない。執拗かつ理不尽な暴力で、重大な精神的苦痛を与えたことは明らかだ。

 ◆暴力と自殺の関連性

 被害生徒は18日、小村教諭も読む練習ノートに「もうわけわからないです」と記しており、理不尽な暴力で相当混乱していたことがうかがえる。19日には、小村教諭に宛てた手紙に「もう僕はこの学校に行きたくないです。それが僕の意志です」などと記している。深く苦悩していたことは明らかだ。生徒は22日に暴力を受けて帰宅し、時間的に極めて近い23日未明に自殺しており、小村教諭の暴力が自殺に追い詰めた大きな要因と考えられる。

 被害生徒は遅くとも昨年12月からは度々、小村教諭からキャプテン交代の話をされていた。途中交代はリーダーシップがなかったとの評価を受けるため精神的な苦痛になる。交代の話も追い詰めた背景と考えられ、小村教諭は教育的配慮を欠いていた。

 ◆小村教諭の暴力傾向 

 小村教諭自身は聞き取り調査に対し、生徒の尻などを蹴ったこともあり、暴力にはそれなりの効果があると考え、桜宮高バスケ部顧問に就任した当初から同様の指導を続けてきたことを認めた。バスケ部以外でも、カンニングした生徒の顔を平手打ちしたり、たばこを吸った生徒をたたいたりしたことがあるとも述べた。生徒への暴力を指導の一環と位置づけ、主にバスケ部員に恒常的に暴力を加えていたことが認められる。

 ◆結語

 小村教諭による本件暴力〈1〉〜〈4〉が認められ、生徒の自殺との間に関連性が認められる。小村教諭には顕著な暴力傾向があり、教育者としての責任は極めて重く、厳重な処分が必要と考える。

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