「勝利至上主義が背景」 浜商体罰問題

「勝利至上主義が背景」 浜商体罰問題
@S[アットエス] 2013年2月23日(土)8時8分配信

 県教委は22日の定例会で、県立浜松商業高(浜松市中区)で明らかになった体罰問題の対応策を協議した。委員から、スポーツ名門校で表面化した体罰に「勝利至上主義が背景にある」など厳しい意見が相次いだ。
 斉藤行雄委員は「勝つためのスポーツ指導に傾き過ぎていないか」と問題提起し、「勝利至上主義が指導者を切羽詰まった状況に陥れていないかを確認すべき」と指摘した。県教委のスポーツ成績優秀校の表彰制度が勝利至上主義を助長するとして、表彰基準の検討を求める声もあった。
 保護者代表の高橋尚子委員長は「勝利に執着する保護者の思いも影響しているのではないか」と保護者への意識啓発も求めた。加藤文夫委員は「きちんと理を尽くして説明すれば子どもは分かる」と、教員のコミュニケーション力向上の必要性を強調した。
 児童生徒に反省などを求める行為として学校教育法で認められた教員の「懲戒権」をめぐり、ルールの明確化を求める声も上がった。
 体罰根絶と懲戒権行使との関係に関し、溝口紀子委員が「ペナルティー(罰)の与え方を教員と生徒で事前に確認しておくべき」と問題提起した。体罰と指導の境界線を明確にするため、「どこまでが体罰なのかの線引きを指導者研修でしっかりやるべき」と発言した。
 安倍徹県教育長は「早急に対応するものと(4月の)全校調査終了後に対応するものに整理したい」と応じた。

浜商校長が謝罪 保護者対象に説明会
 県立浜松商業高(浜松市中区)で複数の教諭が体罰や行き過ぎた指導を行っていたことが明らかになった問題で、同校は22日夜、全校生徒の保護者対象の説明会を開いた。201人が出席し、校長が経緯を説明し、謝罪した。
 説明会は報道陣に非公開で行われ、全教諭も出席した。終了後に取材に応じた校長によると、校長が問題を報じた新聞記事のコピーを配って経緯を説明し、「体罰は絶対にいけない」と謝罪したという。生徒などへの聞き取りを続け、他に問題がないかも調べると伝えたという。
 説明を受けて山崎正人PTA会長が、体罰への反省、生徒の動揺への対応、各部活内の信頼関係の再構築―など4点の要望を提示したが、その他の出席者から質問や注文はなかったという。ただ、終了後の参加者からは「先生を信用している」「いろいろ経緯があったのだと思う」との寛容な声の一方、「再発防止策が聞けなかったのが残念。一過性の対処では意味がない」との厳しい指摘もあった。

異動なく24年間勤務 修学旅行中に飲酒の浜商教諭
 修学旅行引率中の昼食時に飲酒していた県立浜松商業高の50代男性教諭が同校に24年間継続して勤務していることが22日、県教委定例会で明らかになった。溝口紀子委員は「同じ学校での長期勤務で緊張感がなくなっているのではないか」と問題視した。
 同校の内部調査で、体罰や行き過ぎた指導を申告した教員9人のうち、1年任用の講師を除く教諭8人の勤務は2〜15年目。10年以上勤務する教諭は2人だった。
 県教委によると、高校は専門性が高いため長期間異動のない教員もあるという。人事担当者は「課題の一つとして改善する必要がある」と話した。

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