長井南中体罰:男子バレー部顧問、部員10人に口止め 市教委が陳謝 /山形
毎日新聞 2013年2月25日(月)12時19分配信
長井市の中学校で昨年12月29日に起きた体罰事件で、同市教委は24日記者会見した。体罰があったのは市立長井南中(沼沢政幸校長)で、体罰をした男子バレーボール部顧問の男性教諭(32)は、体罰を受けた生徒2人を含む部員10人に口止めをしていた。今月19日にPTAなどからうわさを指摘された学校長から問われても否定し、翌20日になってやっと自己申告の形で認めるまで隠していた。市教委は、顧問が2年前の冬にも部員1人をたたき謝罪していたことを明らかにし「常習性はないと信じていたが、虚偽報告と生徒への口止めで事実確認が遅れ申し訳ない」と陳謝した。【近藤隆志】
市教委によると、体罰を受けたのは1年生2人で、顧問から両手でたたかれた。うち1人は顧問の右手が耳に当たり直後から耳に痛みが出て鼓膜が破れる「左耳鼓膜穿孔(せんこう)」で12月30日に病院で治療を受けその後も通院している。もう1人はけがはなかった。2人とも学校生活は続けている。
体罰のあった日は練習納めで1人を除く10人が参加。昼食前の練習で2人が声を出さず、動きが緩慢だったとして、参加全員の前で2人を並べ左右の手で「往復ビンタ」のようにたたいたという。顧問は昼食時に「耳が痛い」という1人を職員室に呼び「ボールが当たったことにしてくれ」と口止め。午後の練習前の休憩時に他の全部員にも同様に口止めした。顧問は、けがの生徒の親に当日、「ボールが当たった」と耳のけがについてうその連絡をし、1月11日にけがについてだけわびている。学校長への報告は1月7日の3学期始業式で、体罰に関し問われても否定し続けた。今月20日に顧問は校長らと親に「体罰だった」と謝罪した。
顧問は今年度の県中学生選抜バレーボールチームのコーチを辞任し、長井南中では1年生の学級担任と部顧問をやめさせている。
◇「生徒にうそつかせ反省」
市教委によると、顧問は体罰を行った理由について「指導に熱中し、士気と技術を向上させて生徒に自信を付けさせたかった」とした。事実を隠したことは「体罰で異動させられた先輩教師のようになることを心配した」とし、生徒にうそをつかせ反省しているという。会見で同中の前任校長だった加藤芳秀教育長は「明るく熱心だが、カッとなりやすい性格で、何度か繰り返し注意指導をしていた」と話した。顧問は教員歴7年目で09年4月から同中で英語と体育を教えている。
市教委の調査に顧問は、他にも「嫌がらせをやめない男子生徒の頭をたたいた」と話しており、体罰が常態化していなかったか確認している。このため現在進めている児童・生徒、保護者らへの文部科学省の体罰アンケートの結果から、他の教師による体罰を含め厳正な対応を考えたいとしている。
この体罰について、長井署は既に鼓膜にけがをした生徒の親と接触し、任意に話を聞いた。今後、同中や市教委の協力を得て事実の確認を行うという。
2月25日朝刊