樟蔭東学園背任 富山の山林も担保計画、堺市の価値不足認識か
産経新聞 2013年3月8日(金)15時17分配信
学校法人・樟蔭東学園(大阪府東大阪市)をめぐる不正融資事件で、理事の小山昭夫容疑者(81)が融資の3億8千万円の見返りに堺市内の山林(17・5ヘクタール)に抵当権を設定する際、さらに富山市内の山林も追加担保にする案が浮上していたことが8日、学園の内部資料などで分かった。小山容疑者は取材に「(堺の山林は)10億円の価値がある」と主張していたが、融資に見合う価値がなかったと認識していたとみられる。
内部資料などによると、追加担保が検討された土地は富山市河内の保安林で、開発が制限されている。小山容疑者がかつて理事長を務めていた大阪府茨木市の学校法人から平成23年3月、小山容疑者に所有権が移転した。
学園から小山容疑者には22年3〜4月にかけて計3億8千万円が融資されたが、無担保だったとされる。
このため堺市の山林に抵当権を設定する話が決まったが、22年12月の理事会では「貸付金額より堺市の山林の担保価値が下回る場合は、富山市の保安林に追加で抵当権を設定する」との議案が提出され、了承された。小山容疑者はこれまでの取材に対し「近隣の土地の売買価格などをみて10億円以上の価値があると判断した」と話していたが、当初から内部では、堺の山林に融資に相当する資産価値がないおそれも考慮されていた。
地元不動産業者によると、保安林は富山市中心部から車で1時間はかかるダムの上流にあり、「価値があるわけがない」と話している。
東大阪市の学校法人「樟蔭東学園」(高橋努理事長)が顧問の小山昭夫氏(80)に運営資金から計4億8000万円を不適切融資した問題で、小山氏が07年に学園の人事権を得るために使った2億円は、自身が理事長を務め、民事再生法の適用を受け経営再建中だった学校法人「東北文化学園大学」(仙台市)の運営資金を無断流用したものだったことが分かった。関係者は「経営再建中の学校の資金を私的流用するのは許されない」と批判している。