教え子への体罰、元Jリーガー逮捕 「指導の一環」行き過ぎ ほかの選手も暴行か

教え子への体罰、元Jリーガー逮捕 「指導の一環」行き過ぎ ほかの選手も暴行か
産経新聞 2013年4月12日(金)7時55分配信

 教え子への傷害容疑で逮捕された元Jリーグ選手、西脇良平容疑者は子供たちへの“熱血指導”で知られていた。西脇容疑者は「指導の一環だった」と供述。合宿の練習試合の合間に暴力が振るわれたことから、プレーや言動に対する体罰だった可能性が高い。なぜ行き過ぎた指導が行われたのか。

 「FCアルマ大垣」のホームページなどによると、西脇容疑者はプロ引退後の平成18年、Jリーグ時代の選手仲間と同チームを設立。「熱い魂」の持ち主だったとされ、ミスをすれば保護者の前でも子供を叱責。全日本少年サッカーの県大会でチームを優勝に導いたこともあるという。

 岐阜県サッカー協会の専務理事、尾関孝昭さん(55)は「(西脇容疑者は)子供たちに厳しい言葉を浴びせることで有名だった。体罰という話は聞かないが、熱血さが裏目に出たのでは…」と話す。

 一方、岐阜県警はチームのほかの選手も暴行を受けていた可能性があるとみて捜査を進めている。

 大阪市立桜宮高校のバスケットボール部顧問や、柔道女子日本代表監督らによる暴行が次々と発覚する中で起きた指導者の逮捕。スポーツ評論家の玉木正之氏は「野球や柔道に比べ、サッカーは体罰が少ない世界。サッカー界全体の問題ではなく、個人の資質によるものではないか」と分析。一方、「最近ではむしろ保護者が『厳しく指導してくれ』と要望し、コーチらにプレッシャーをかけるケースが多いと聞く。自分の子を強くするため、多少の暴力を容認する傾向が体罰を生む土壌となっているのではないか」とみる。

 また、生徒指導に詳しい東京学芸大教職大学院の今井文男特命教授は「元プロ選手が指導に当たる場合、『試合に勝ちたい』という自らの思いが先行、行き過ぎた指導に発展してしまうことがある」と指摘。教育評論家の石井昌浩氏は「熱血コーチだからといって、暴力が許されるものではない。スポーツも教育の範疇(はんちゅう)だから、両腕骨折という結果の重大性からみると、明らかに教育から踏み外している」と述べた。

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