(朝鮮日報日本語版) 保育園の6割、補助金を不正受給
朝鮮日報日本語版 2013年5月8日(水)11時2分配信
2011年12月、ある保育園の園長は、新たに着任することが決まった保育士4人と作戦を練った。韓国政府が運営する保育統合情報システムに登録すれば給与が支給される点を悪用し、実際に勤務を始める3カ月前に同システムに登録し、給与を受け取って分け合ったのだ。園長は保育士らに給与を支給したかのように装う書類を作成し、人件費や処遇改善費など、国からの支援金1300万ウォン(現在のレートで約120万円、以下同じ)をだまし取った。
別の保育園の園長は、保育園の運営費を個人的な用途に使っていたとして摘発された。この園長は11年1月から昨年4月にかけ、保育園の運営費の中から月に50万ウォン(約4万5000円)ずつ、計800万ウォン(約73万円)を個人の銀行口座で受け取ったほか、交通費の名目で毎月30万ウォン(約2万7000円)ずつ、計480万ウォン(約44万円)を受け取っていたという。
保健福祉部(省に相当)は、昨年4月から今年1月にかけ、全国1300カ所の保育園に対し点検を行った結果、全体の60%に当たる772カ所で、1346件の法令違反行為を摘発した、と7日発表した。
このうち、当局に届け出ずに送迎バスを運行したり、保育士の配置基準に違反したりしたケースが983件で最も多く、以下、消費期限を過ぎた食品を保管するなど、不適切な形で給食を提供したケース(159件)、簡易領収証などを発行して会計を改ざんしたケース(154件)、保育士や園児の数を水増しし、国からの補助金である人件費や保育料を不正受給したケース(43件)の順となった。このような行為により、2009年から11年までの3年間に、2893カ所の保育園が国からの補助金183億7900万ウォン(約16億7100万円)を不正に手にしていたことが分かった。
保健福祉部が毎年、保育園での不正行為に対し指導や点検を行っているにもかかわらず、補助金を不正受給する保育園は増え続けている。補助金の不正受給は09年の928件から、10年には1272件、11年には1587件へと増加した。昨年は1346件で、前年に比べ減少したが、引き続き取り締まりを行っていることを考慮すると、それほど減ったとはいえない状況だ。
保健福祉部は今回摘発した保育園に対し、運営停止や閉鎖、園長の資格停止、補助金の回収などの行政処分を下した。一部の保育園が限度額を超える特別活動費を受け取ったケースについても、是正命令や運営停止の処分を下した。同部の関係者は「今後、保育園の不正行為に対する監視システムを強化していく。摘発された不正行為の内容に応じ、場合によっては警察に告発し刑事訴追を求めていく方針だ」と説明した。