<耐震化工事>小中学校で全く実施されず 大阪・能勢町
毎日新聞 2013年7月7日(日)9時0分配信
大阪府能勢町の町立小中学校で耐震化工事が全く実施されていないことが、町への取材で分かった。町は8小中学校を2016年度から小中1校ずつに統合する計画を進めているが、危険性が高いと評価された校舎もそのまま使われている。昨年秋に初当選した山口禎町長は、耐震診断費用の予算案を今年6月に町議会へ提案したが、「統合が間近に迫っている」などとして認められなかった。
学校などの建物は、地震防災対策特別措置法が08年に改正され、1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物には耐震診断と結果の公表が義務化されて耐震化が求められている。
町によると、8校の計30棟のうち旧基準の建物は計20棟。耐震化率は約33%で、全国平均の約85%(12年4月現在)を大きく下回る。町は、簡易な1次診断は実施しており、計8棟を「危険性が高い」と評価。しかし、災害時に避難所として使うために耐震化する予定の体育館など4棟を除き、耐震工事を前提にした2次診断はしていない。全国の2次診断の実施率は平均約93%に達する。
計画では、統合した新しい学校は16年4月に開校予定だ。山口町長は開校まで短期間でも安全確保が必要だとして、16棟分の2次診断費用約6000万円の予算案を議会に提案。しかし議長を除く11議員のうち6人が、「子供の安全は重視するが、工事完了は開校半年前になるのではないか。町は開校準備に注力すべきだ」などと認めなかった。ある議員は「各校の耐震化を進めれば、統合計画が白紙に戻ると町民に誤解される恐れがある」と話す。
学校統合計画は、府から無償譲渡された旧おおさか府民牧場跡地に新学校を建設するもので、前町長時代から進められている。住民団体は11年、計画の賛否を問う住民投票条例制定を求め、約2000人の署名を町選管に提出したが、議会に否決された。また、町の教職員ほぼ全員にあたる約105人も先月、計画に反対する要望書を山口町長らに提出した。署名活動に関わった男性は「子供の安全が第一で、計画を見直すべきだ」と指摘する。【田中謙吉、田辺佑介】