<樟蔭東学園>「学園を私物化同然」背任の元理事に有罪判決
毎日新聞 2013年11月22日(金)12時39分配信
東大阪市の学校法人「樟蔭東(しょういんひがし)学園」を巡る背任事件で、返済できないと認識しながら3億8000万円の融資を学園から引き出したとして、背任罪に問われた元理事、小山昭夫被告(82)の判決が22日、大阪地裁であった。村越一浩裁判長は「融資は理事会の承認を得ておらず、学園を私物化したと言われても仕方がない」と述べ、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)を言い渡した。
判決によると、学園を統括していた小山被告は、当時の理事長(67)=同罪で有罪確定=と共謀し、2010年3〜4月、学園から3億8000万円の融資を無担保で受け、学園に損害を与えた。
公判で弁護側は、小山被告が当時の理事長に対し、適法に融資するよう指示したとして、無罪を主張した。しかし、村越裁判長は、秘密裏の処理を迫られたとする理事長の証言の信用性を認定。「小山被告は人事権などを握り、学園内では絶大な影響力があった」として、背任罪が成立すると結論付けた。
その上で、融資金は、別の学校の学生寮建設などに充てるためだったと指摘し、「私腹を肥やしたとは評価できないが、学園とは無関係の支出で影響は大きい」と批判した。一方で全額を弁済したことを考慮し、執行猶予付きの判決とした。【服部陽】
◇樟蔭東学園を巡る背任事件
小山昭夫被告は2010〜11年、樟蔭東学園から計4億8000万円の融資を不正に受け、4億3000万円の返済が滞った。この問題を毎日新聞が報じた後、小山被告は全額返済したが、大阪地検特捜部は、最初に3億8000万円の融資を受けた時点で学園に損害を与えたと判断。今年3月、小山被告と当時の理事長を背任容疑で逮捕した。医療法人や学校法人などを抱える「藍野グループ」代表だった小山被告が07年、経営難の樟蔭東学園に資金援助し、理事の人事権を掌握したのが事件の発端となった。
東大阪市の学校法人「樟蔭東学園」(高橋努理事長)が顧問の小山昭夫氏(80)に運営資金から計4億8000万円を不適切融資した問題で、小山氏が07年に学園の人事権を得るために使った2億円は、自身が理事長を務め、民事再生法の適用を受け経営再建中だった学校法人「東北文化学園大学」(仙台市)の運営資金を無断流用したものだったことが分かった。関係者は「経営再建中の学校の資金を私的流用するのは許されない」と批判している。