激増の「わいせつ公務員」 “特効薬”見つからず 福島県
2008/12/29 10:04更新 産経新聞
今年も公務員による不祥事が相次いだ福島県。なかでも盗撮や児童買春、セクハラなどの“わいせつ不祥事”は県職員・警察官・教職員で計12件に上り、過去に例のない件数となった。「再発防止を徹底し、県民の信頼回復に努めたい」−不祥事が発覚するたびに幹部らが繰り返すお決まりのフレーズも、記者会見場にむなしく響くだけだった。(小野田雄一、年齢はいずれも当時)
「前回からわずか3週間でこのような会議を開かざるをえず、忸怩(じくじ)たる思いだ。本県の教育は真に危機的な状況にある」
男性元校長(63)=懲戒免職=による女性教員へのセクハラ行為が発覚したことを受け、今月19日に開かれた臨時の県立学校長会議。集まった約 100人の校長らに対し、深谷幸弘・県教育委員長は絞り出すような声でそう訓示した。
教育委員長自ら校長らに直接訓示するのはきわめて異例。その背景にあるのは、後を絶たないわいせつ不祥事だ。
県教委では11月にも、男性教諭(43)=懲戒免職=による女子生徒の下着盗撮問題が発覚。同月25日に同会議を開き、わいせつ不祥事の再発防止を指示した。元校長によるセクハラ行為が発覚したのは、その矢先のことだった。
県教委によると、今年4〜12月までで、教職員の懲戒処分件数は計34件。前年同期は57件で、数字上は減少した。
しかし内容をみると、わいせつ事案が激増。昨年は1件だけだったのが、今年は7件に達した。いずれも男性教諭によるもので、女子生徒や女性教員を対象にした職場でのわいせつ行為が目立った。
わいせつ不祥事が増えたのは教職員だけではない。
県職員では、平成17年度以降わいせつ不祥事は0件が続いていたが、今年は2件発生。盗撮目的で職場の女子トイレに侵入し、カメラを設置した男性職員(48)=停職1年=と、酒を飲んで女性職員にセクハラ行為をした30代男性職員=減給3カ月=が懲戒処分を受けた。
昨年わいせつ不祥事が0件の県警も事情は同じ。
県警は今年11月までに、出会い系サイトで知り合った女子中学生に現金を渡す約束をしてみだらな行為をした男性巡査長(34)=懲戒免職=と、当直勤務の休憩時間にパチンコ店で女性店員のスカート内を盗撮した男性巡査長(27)=停職6カ月=の2件で処分を公表した。
さらに12月に入り、いわき中央署長(57)による女性署員に対するセクハラ行為が発覚。26日に国家公安委員会が減給1カ月の処分を公表し、署長は同日付で依願退職したが、県警採用の警察官では最高階級となる“警視正”のセクハラ行為は、警察関係者にショックを与えた。
ただし、県などもただ手をこまねいているわけではない。
県では平成16年から、懲戒処分時の氏名公表の基準を厳しくした。抑止効果を狙ってのことだ。担当者は「懲戒処分の件数からみても、効果はあったと思う」と話す。
また県教委でも、職場全体で教職員の反社会的行動の予兆に気づくようにする▽幹部が各学校を訪問し、直接教員らと対話する−などの対策を検討している。
ただある県教委幹部は「正直にいえば特効薬が見つからない。わいせつ不祥事をした教師は全員、一見仕事熱心でまじめな教師だったこともあり、『今後、まじめな人は採用しないようにしよう』と冗談が出たこともある」と苦笑する。
深谷県教育委員長は19日の訓示で、わいせつ不祥事を起こす教職員に共通する問題として、視野が狭く社会的平衡感覚を喪失している▽生徒からの敬愛を恋愛感情と錯覚する▽わいせつがどれほど生徒にダメージを与えるか理解していない−などと分析した。これらは生徒を被害者に置き換えれば、問題を起こした県職員、警察官にも当てはまることだろう。
問題を起こすのはごく一部の職員とはいえ、一部が全体の印象をも傷つけるのが世の常。来年こそは“信頼回復”に期待したい。
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【用語解説】公務員の懲戒処分
国や地方自治体(任命権者)の定める規則に違反したり、犯罪行為などをした公務員を罰する制度。国家公務員法と地方公務員法に定められており、任命権者が処分内容を決定する。
処分には、厳しいものから順に「免職」・「停職」・「減給」・「戒告」がある。懲戒免職の場合、氏名の公表や退職金が支払われないなどの罰則が与えられる場合が多い。
懲戒処分するほどではない違反の場合には、懲戒処分に準ずるものとして「訓告」や「厳重注意」、「口頭注意」などが使用されている。