「警察官はLINEで連絡してこない」 ワイモバイルが警察署と共同でシニア向けスマホ教室

2月27日、ソフトバンクのワイモバイルと、警視庁特殊詐欺対策本部、および戸塚警察署が共同で「特殊詐欺被害ゼロへ! 安心スマホライフ教室」を開催した。ソフトバンク、ワイモバイルショップ内のチラシなどで募集をかけ、10人以上のユーザーが参加した。 イベントは、特殊詐欺被害の現状と対策について、スマホの詐欺対策の二部構成で行われ、それぞれ警視庁 戸塚警察署、生活安全課長の麻生典彦氏、ソフトバンクの「スマホアドバイザー」である木谷裕輔氏が登壇した。 ■ 急増する特殊詐欺 第一部では、特殊詐欺の現状や、今できる対策について、麻生氏から語られた。特殊詐欺の被害は、2024年の東京都内だけで3494件、被害総額は153億1406万円にも及んだ。前年同期比で約71億1000万円も被害額は増えており、主な要因として、インターネットバンキングの普及があげられる。 手口別に特殊詐欺の割合を見ると、いわゆるオレオレ詐欺と還付金詐欺が、全体の約7割を占める。 特にオレオレ詐欺は巧妙化しており、肉親を名乗るだけでなく、警察官のふりをして被害者に電話をかけ「あなたの口座が犯罪に使われている」などと事実とは異なる情報を伝え、LINEでのトークに誘導し「調査のために口座を移してほしい」「警察に送金してほしい」と頼むといった手口が増えている。トーク時には、偽の警察手帳や逮捕状の写真を見せることで、信ぴょう性を持たせてくることもあるとのこと。 大前提として、警察官が公務でLINEを使うことはまずない。LINEで警察を名乗る人物、LINEに誘導してくる人物は、警戒をする必要がある。また、警察手帳や令状を写真で送ることもないということは周知しておきたい。知らない番号からの電話は出ない、もしくは電話に出ても、一度で信じずに、家族や知人に相談をするといった対策が求められる。 一方、還付金詐欺は、医療費の還付金があるといった内容の電話を信じ、ATMで操作を行った結果、お金をだまし取られてしまうといったもの。還付金詐欺は、電話でATMの操作を指示するという性質があるため、麻生氏は「電話をしながらATMの操作は絶対に行わないでほしい」と、強くアピールしている。 スマホを使った詐欺として近年増加しているのが、SNS型投資詐欺と、ロマンス詐欺と呼ばれるものだ。2つを合わせた被害総額は約187億円となっており、実は特殊詐欺よりも多くなっている。 SNS型投資詐欺は、SNS上で詐欺アプリへと被害者を誘導し、あたかも投資がうまくいっているかのように見せかけ、どんどん追加で入金させていくというもの。 ロマンス詐欺は、SNSなどで相手に恋愛感情を抱かせてから、「お店をやっている」「出資してほしい」といった誘い方で、被害者を誘導する。 いずれもインターネットを活用した詐欺となっており、ユーザーには、詐欺サイトやSNS上のウソを見抜く力が求められる。警視庁としても、地域ごとにどのような詐欺被害が起きているのかを確認できる「デジポリス」といったアプリを配信するなどして対策を講じているが、まずは個人で詐欺に対する警戒意識を持つことが重要だろう。 ■ ソフトバンクの詐欺対策 第二部に登壇した、ソフトバンクの木谷氏は、ソフトバンク、ワイモバイルショップにて、スマホの使い方、操作の悩みをサポートするスマホアドバイザー。ソフトバンクが独自に資格認定をしたスマホのスペシャリストで、全国のショップに、およそ1200人のスマホアドバイザーがいる。スマホアドバイザーによる講演は、スマホ操作の基礎的な部分から、子供向けのプログラミング教室なども含め、2024年だけで約1万回程度開催されている。 第二部では、参加者の防犯力(防犯意識)の確認や、近年増えている、通話やSMS、インターネットを使った詐欺の手口と、その対策について紹介された。 通話機能を使った詐欺には、先に触れたオレオレ詐欺、警察を名乗る詐欺がある。AIが代わりに電話に出て、警告、録音、通話内容の文字起こしを行ってくれる、Google Pixelシリーズの通話スクリーニング機能も紹介された。特に通話スクリーニングは、参加者の興味をそそったようで、後程インタビューをした60代の女性は、iPhoneユーザーだが、文字起こし機能が便利そうなので、Pixelシリーズに変えることも検討していた。 SMSを使った詐欺で多いのが、架空の料金の請求先を記載したURLが送られてくるパターン。インターネット詐欺も、SMSを使った詐欺同様に偽サイトに誘導し、個人情報を入力させるというものが多い。 ソフトバンクの場合は、迷惑メッセージを自動で検知し、迷惑メッセージフォルダに振り分ける機能や、危険なサイトをチェックし、警告画面で知らせるといったセキュリティ対策ができる「セキュリティOne」を提供している。セキュリティパックプレミアム(月額770円)や、各種セキュリティパックプラス(月額660円)、各種セキュリティパック(月額550円)などに加入していれば、申し込むだけで利用ができる。 ■ ワイモバイルが詐欺対策する理由 ソフトバンクは、警察庁と共同で、「安心スマホ検定」という、無料の検定サービスを提供している。シニア向けの端末発売に合わせ、シニア層が安心してスマホを使えるためにできることは何かと考え、警察庁に相談し、安心スマホ検定が作成された。 特にワイモバイルは、60歳以上のユーザーであれば、通話機能を安く利用できるといった理由で、シニア層のユーザーが多いとのこと。これまでも、セキュリティパックの提供や、スマホアドバイザーの育成といった形で、シニア層の意識づくりを行ってきたが、検定という形で提供されるのは、今回が初となる。 また、警察庁からソフトバンク以外のキャリアに声をかけ、シニア層に向け詐欺対策イベントも計画されているとのこと。今後、事業者間で連携して、詐欺対策を強めていくことも視野に入れる。

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