韓国の憲法裁判所は4日、判事8人全員(欠員1)の総意として尹錫悦大統領の罷免を宣告した。60日以内に大統領選が行われる。現時点では、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明代表が次期大統領として最有力視されている。 憲法裁の判事8人(定員9人、欠員1人)のうち、進歩系が3人、保守系が2人、中立系が3人と評されていた。しかし、結論は8人全員が尹氏の弾劾を支持した。韓国政府元高官は「最近、韓国内での保守と進歩の対立が激化していた。弾劾を認めても認めなくても、一方の勢力からは不満が出る。その時、不満の口実を与えないように、裁判所として結束して結論を出す必要があったのだろう」と語る。当初、「3月14日」とみられていた弾劾審判の日が4月4日にずれ込んだのも、司法が一致した姿勢で臨まないと、かえって韓国内の分断をあおると懸念した結果だとみられる。 尹氏は、韓国憲法が要件として定める「戦争状態や重大事変」でもない状況で戒厳令を布告し、戒厳令下でも政治活動の自由が認められた国会議員たちを逮捕しようとした。「あまりにも明白な証拠がそろっているため、弾劾の棄却や却下など考えられない状況だった」(野党議員)とも言える。憲法裁も4日、尹氏の戒厳令は憲法が定める目的や手続きに違反し、司法の独立、軍の統帥権、国民の基本的人権などを侵害したと認定した。今回こそは、韓国で「正常な三権分立」が機能した結果だと言えるだろう。 それほどに、韓国では従来、三権分立がないがしろにされてきた。韓国司法は、日韓両政府が1965年の請求権協定で最終的な解決とした徴用工問題に踏み込み、日本企業に損害賠償を命じた。立法府の「共に民主党」は尹錫悦政権が指名する閣僚などの人事をことごとく弾劾してきた。行政をつかさどる尹氏は昨年12月3日、戒厳令を布告した際の記者会見で「判事を脅し、多数の検事を弾劾するなど司法業務を麻痺させ、行政安全相の弾劾、放送通信委員長の弾劾、監査院長の弾劾、国防相官の弾劾などで、行政府まで麻痺させている」と訴えた。そして、その尹氏は大統領権限の戒厳令を乱用し、国会議員や裁判官らを逮捕・拘束しようとした。