韓国憲法裁、戒厳令は「重大な違法行為」と断罪 尹大統領罷免

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣布を巡り、憲法裁判所は4日、弾劾訴追された尹氏の罷免を8人の判事の全員一致で決定した。憲法裁は決定文で、戒厳令や国会に対する軍の投入などについて「国民主権と民主主義の否定」にあたると指摘し、いずれも「憲法擁護の観点から容認できない重大な違法行為だ」と断罪した。尹氏は直ちに失職し、憲法の規定で60日以内に大統領選が行われる。 大統領が弾劾・罷免されたのは朴槿恵(パククネ)氏以来2人目。尹氏の在任期間は約2年11カ月と、民主化後の大統領の中で最も短かった。尹氏は任期中、懸案だった元徴用工問題で解決策を示し、日韓のシャトル外交を復活させるなど、日韓関係を改善の軌道に乗せた。 韓国メディアは、6月3日に大統領選が実施される可能性が高いと報じている。次期大統領候補として世論調査では進歩系野党候補が最も支持を集めているが、選挙の行方は流動的だ。 尹氏は昨年12月3日夜、政府の予算案を大幅に削減し、政府関係者の弾劾を繰り返す野党を国政をまひさせる「反国家勢力」と指弾し、戒厳令を宣布した。また、国会と地方議会、政党の活動やデモなどを禁止する布告を出し、国会に軍や警察を投入して封鎖を試みた。ただ、国会が約2時間半後に戒厳令の解除を要求する決議案を可決し、4日未明に解除された。 尹氏は12月14日に弾劾訴追されて職務停止となったが、その後も戒厳令の正当化を続け、尹氏に対する弾劾への支持、不支持を巡り韓国社会の分断は深まった。 憲法裁は、戒厳令が「社会、経済、政治、外交など全分野に混乱を引き起こした」と指摘。「自らの支持者だけではない全国民の大統領として、社会全体を統合しなければならないとの責務に違反した」と尹氏を厳しく非難した。 尹氏は4日、罷免決定を受けて「期待に添えず、とても残念で申し訳ない」と支持者に向けて謝罪する談話を発表した。「韓国のために仕事をすることができ大変光栄だった」と振り返り、「至らない私を支持して応援してくださった皆さんに深く感謝する」と謝意を示したが、戒厳令による混乱への言及はなかった。 戒厳令を巡り尹氏は、内乱を首謀した容疑で刑事責任も問われている。1月に逮捕・起訴されたが、3月に釈放された。刑事裁判は罷免後も続く。現職大統領には内乱・外患罪を除き不訴追特権があるが、罷免により他の罪に問われる可能性も出ている。【ソウル日下部元美】

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