快楽のため…教諭をむしばんだ薬物の魔力

快楽のため…教諭をむしばんだ薬物の魔力
2009年10月24日11時8分配信 産経新聞

 密売人から覚醒剤を購入したとして、大阪市立梅香小学校教諭、西田賀嗣容疑者(34)=大阪市生野区=が覚せい剤取締法違反(譲り受け)容疑で大阪府警に逮捕された。西田容疑者は1年生の担任で、「覚醒剤汚染がついに教育現場まで…」と教育関係者に衝撃が広がっている。府警の調べに西田容疑者は「密売人から5回以上は買った。快楽のために知人と一緒に使っていた」と供述。しかし、謝罪の言葉などはないという。

 ■小学校から任意同行

 「明るくて人当たりも良く、子供たちにも人気がありました…」

 西田容疑者の逮捕を受け、10月15日に会見した畦田友子校長(59)は、あまりのショックに始終呆然(ぼうぜん)とした表情だった。

 関係者によると、捜査員が西田容疑者の勤務する梅香小学校を訪れたのは13日午後。大半の子供たちが帰宅した放課後のことだった。 

 「教諭は学校にいますか?」

 校長室に通された捜査員は、西田容疑者に薬物に関する容疑があることを告げたうえで、校長室に呼ぶよう依頼。西田容疑者が現れると、しばらくやりとりがあり、その後、西田容疑者は任意同行を求められたという。

 会見に集まった記者からは、西田容疑者の人柄やふだんの様子について畦田校長に質問が集中した。

 −勤務態度に問題はなかったのか

 「特に問題ありません。平常通り勤務してくれておりました」

 −学校を休んだことはあったのか

 「身体上のことで休んでいたことはありました。連続して1週間程度休んだこともありましたが、他の先生と同程度の休み方で不自然ではありませんでした」

 −薬物を使うような人物に見えたか

 「見えません!」

 悲鳴にも似た畦田校長の声が部屋に響いた後、会見は打ち切られた。

 ■「やめられなかった…」

 「間違いありません。私は覚醒剤を買っていました」

 逮捕後の調べに西田容疑者は、素直に容疑を認めたという。

 「小学校教諭」が捜査線上に浮かんだきっかけは、今年6月16日、大阪市北区内のホテルからの通報だった。「客が暴れている」。現場へ向かった捜査員は、徳島県の会社員の男を同法違反(使用など)容疑で逮捕。男は「密売人の男から覚醒剤を買った」と供述した。

 府警は7月6日、住所不定の密売人の男(38)を逮捕。密売人は、客と携帯電話でやりとりしていた。府警が押収した密売人の携帯電話には、逮捕の直前に1人の客と取り引きをしていたことを伺わせる記録が残っていた。その客が西田容疑者だった。

 逮捕容疑は7月6日午後1時半ごろ、大阪市北区のホテル1階の男子トイレで、密売人の男からポリ袋に入った覚醒剤を8千円で購入したとされる。しかし、逮捕から2日後、さらに新事実が判明した。

 任意同行後に採取した西田容疑者の尿から、覚醒剤の陽性反応を示す結果が出た。西田容疑者はその後の取り調べで、教師になる以前の約10年前から覚醒剤を使用していたことを認め、「やめられなかった」と供述したという。

 西田容疑者の自宅からは、注射器も見つかっており、府警は今後、西田容疑者を覚せい剤取締法違反(使用)容疑でも立件する方針だ。

 ■英語が得意の明るい先生

 学校や市教委によると、西田容疑者は平成16年4月に採用後、梅香小で勤務。今年度から1年生の担任として児童28人を受け持っていた。明るい性格で子供たちにも人気があったという。科学クラブの顧問も務め、得意の英語を生かして同校の英語教育の中心を担っていた。

 「特段問題のある教員ではなかったと学校から聞いている。普通の先生だった」(市教委)といい、処分歴もなかった。

 10月15日、市役所で緊急会見した大阪市教委の永井哲郎教育長は「教育に対する信用を著しく失墜させ、深くおわび申し上げます」と陳謝。社会問題化している薬物汚染の拡大が“聖職”にまで及んでいる現実に、「最初は正直信じられなかった。人に何をしてはいけないかを教える立場。まさか小学校の教員が覚醒剤に手を染めるとは…」と声を絞り出すように語った。

 市教委によると、18年4月に市立小学校の管理作業員が覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕されているが、同容疑で市立学校の教員が摘発されたのは初めてという。

 「小学生にとって先生は人生の師。動揺しないよう、どの程度まで事件の情報を伝えるか考えたい」。永井教育長は複雑な胸中を語った。

 学校では当初、西田容疑者について、「病気でお休みです」と児童に説明していたという。その後、逮捕の事実を伝えたが、すでに報道などで事件を知っている子供がほとんどだった。学校では大きな動揺はみられないというが、家庭では涙を見せる児童もいたという。学校では今後、児童の心のケアに取り組む方針だ。

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