価値がある天然石の売買を装って高金利で客に現金を貸し付けたとして、警視庁は10日、決済代行会社役員の福井達容疑者(45)ら男4人を出資法違反(超高金利)容疑で逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。 福井容疑者らは、インターネット上で「クレジットカードのショッピング枠を現金化できる」と融資を希望する客を募り、価値のない天然石をクレカ決済で購入させていた。購入額の7割前後を「キャッシュバック」として客に現金で渡し、差額の3割前後を得ていたといい、警視庁は高利息を得る「ヤミ金グループ」とみている。 捜査関係者によると、福井容疑者らの逮捕容疑は共謀して昨年3~5月、客5人から法定上限を上回る利息計約100万円を受け取ったというもの。客がクレカで計約440万円の石を購入し、計約340万円のキャッシュバックを受けた形にしていたといい、警視庁は、この差額の約100万円が利息に当たると判断したという。 このグループでは1人あたり約16万~130万円を貸し付け、金利は法定上限(年利20%)の15~52倍だったという。同庁は、福井容疑者らが約1万7千人に貸し付け、約25億円の利息を得ていたとみている。(吉村駿、太田原奈都乃) クレジットカードのショッピング枠を使って「商品」を購入し、「キャッシュバック」などと称して現金を得る「クレカ現金化」。ネット上に多く存在する業者は「審査なし」「安心安全」などと客を募集しているが、専門家は「利用者が罪に問われる余地もある」と注意を呼びかけている。 日本クレジット協会によると、現金化は各クレカ会社の規約で禁じられており、違反すれば利用停止などの処分を受ける。協会は利用停止処分の実態は把握しておらず、ある大手クレカ会社でも「現金化の処分件数はまとめていない」という。