大阪・関西万博のサステナビリティコード、レガシーは受け継がれていくだろうか?

4月13日、大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)が開幕した。雨の降るなかとはいえ、華やかなオープニングセレモニーに人々の関心も一気に盛り上がってきたのではないだろうか。 この大阪・関西万博には、東京オリパラ(2020年東京オリンピック・パラリンピック)で学び、受け継ぎ、進化させたサステナビリティコードがあるのをご存知だろうか。 近年、地球環境に配慮して、オリンピックなどの国際的な大会には、持続可能性に配慮した調達方針、つまりサステナビリティコードが設定されるようになった。 それは会場や選手村で提供される食事などの食材や建物の建材などに反映されているのだが、オリンピックでは、2012年のロンドン大会が明確に方針を示して結果を出した。2015年にはイタリアのミラノで開催された万博でもこの調達方針が示された。そして、いずれも次の大会にバトンが引き継がれていっていた。 大阪・関西万博も東京オリパラの調達方針から学び、それを進化させている。課題も残るが、筆者は高く評価したいと考えている。 ◾️水産物の調達方針は残念なものに ここで、コロナ禍で1年延期された4年前の東京オリパラを振り返ってみよう。 実は当初、食材としての水産物の事前の調達方針は、とても残念なものになってしまっていた。しかし、いざ蓋を開けてみると、実際の調達ではかなり高い持続可能性を実現していた。何が起こったのか、説明しよう。 「持続可能な調達方針」は時代に即して進化しながらオリンピックのレガシーとして継承されてきた。前述のロンドン大会では、水産物の調達方針に高い基準を要求する国際漁業認証であるMSC認証とイギリスの持続可能性評価プログラム「Good Fish Guide」が援用された。 続く2016年のブラジルのリオデジャネイロ大会でも、MSC認証に加え、養殖水産物認証のASC認証を取得したもののみを利用する調達方針となった。両大会とも、ほぼ100パーセントという高い持続可能性の達成率の大会レポートが提出されている。オリンピックが持続可能な水産物の調達を実現したのだ。 ところが東京オリパラでは水産物の調達方針は退行した。 当時の水産庁による資源評価で、資源量が豊富つまり持続可能性の最低条件である資源量で合格するレベルにある水産物は全体の20パーセントにも満たなかったのにもかかわらず、東京オリパラの調達方針では日本で漁獲されている水産物の90パーセント以上はサステナブルであるとされ、絶滅危惧種でさえも持続可能とされた(ちなみにクジラ、イルカ、ウナギは除外された)。

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