山口大不正経理 関与の50代教授が評議員辞任の意向
2010年2月9日 読売新聞
山口大の公的研究費を巡る不正経理問題で、不正に関与したとされる同大教育研究評議会評議員で大学院理工学研究科の男性教授(50歳代)が、大学側に評議員を辞任する意向を伝えていたことが9日、大学関係者への取材でわかった。同大は近く辞任を認める見通し。教授は次期工学部長と大学院理工学研究科長に内定しており、学内では辞退すべきとの声も出ている。
大学関係者によると、教授は、昨年10月に広島国税局が行った大学や取引業者への調査で、不適正な取引の疑いが浮上。架空取引で業者の手元に研究費をプールする「預け」といわれる手口で不正を行っていたとされる。同大調査委員会が1月に行った聞き取り調査で関与を認め、プールした研究費は「機材の修理費に充てた」と話し、私的流用は否定しているという。
調査委は山口県宇部市の取引業者に必要な書類などを提出させ、教授の不正行為や架空取引の金額などを特定する作業を進めており、大学側は懲戒処分を検討している。
教育研究評議会は国立大学法人化に伴って発足した組織で、学長や理事などの役員、学部長、各学部から選ばれた教授ら計約30人で構成。教育研究に関する中期計画や教職員の人事を審議する。
教授は昨年11月に次期工学部長、1月に次期大学院理工学研究科長に、教授会の互選などで選任された。学部長に就任すれば新年度から評議員に復帰することになる。
工学部の事務部門では「まだ具体的な届け出はないが、仮に辞退すれば、規定に従って再選挙を行う」と説明している。
評議会メンバーでは、ほかにも現職の医学部長(60歳代)が研究費を不正にプールしていたとして、同大が懲戒処分する方針を明らかにしている。