再考求めた候補を承認 県立医大理事長
2010年2月12日17時4分配信 紀伊民報
和歌山県立医大は12日、仁坂吉伸知事が再考を求めた板倉徹教授の理事長任命について申し出書を提出した。仁坂知事は大学の改革を要望した上で、大学の自治を尊重して承認する意向を示した。
医大の理事長選挙は立候補した3人が、それぞれ昨年発覚した大学の研究委託費不適正経理で責任を負う立場にあった。学内の選考会議は過半数を獲得した板倉教授を選任。任命権を持つ仁坂知事が文書で熟慮再考を求めていた。
仁坂知事が要望したのは、不適正経理問題の情報公開と厳正な対処▽地域医療の充実などのため、県民の声が反映されるような意思決定システムの構築▽大学内の融和―など。再考を求めて以降、板倉教授らと会談し、快諾されたという。
医大によると、理事長問題について5回の臨時教授会を開催。「反省すべき点もある」などの意見も出たが、「公正な選挙の結果を尊重すべきだ」との声が主流で、再選挙は行わなかった。
再考を求めた板倉教授を承認することに仁坂知事は「医大と県の名誉、大学の自治を守る選択。(不適正経理の責任者が理事長になることは)苦難の再出発だが、信頼回復の改革に取り組み、大学がまとまる機会になれば」と見解を述べた。
選考会議議長の小浜孝夫副理事長は「教職員が選んだ理事長の下、一丸となって事件の再発防止、地域医療の充実に努めたい」と話している。
不適正経理問題の処分については、金額が確定見込みの2月末にも公表したいとしている。