浜教組、教科書不使用のマニュアル 文書の配布方法も不正
2010年5月17日7時56分配信 産経新聞
■「学校ポスト」無断利用
横浜市の教職員らで組織する「横浜市教職員組合」(浜教組)が市教委の採択した中学社会の教科書を使わない「授業マニュアル」の冊子を作成していた問題で、浜教組は市教委の運搬システムを無断利用して、教員らにマニュアルを配っていたことが16日、分かった。マニュアルの利用は自治体の教科書採択制度を定めた法令に抵触する可能性があるが、配布方法にも不正があった。市教委は、浜教組に対して文書で強く警告した。
浜教組が無断利用していたのは、市教委事務局と市立学校約500校の間で、文書をやりとりする運搬システム。事務局内の「学校ポスト」と呼ばれる棚に、あて先の学校や教師名を書いた封書を置くと、自動的に契約業者が回収して届ける仕組み。市が年間約5300万円の費用を負担しており、公務以外の利用は厳禁で、組合活動や教職員の私的利用も認められない。
市教委によると、浜教組はこの学校ポストに無断でマニュアルを置いて、各校に配らせていた。マニュアルは合計1万部以上が配られたが、そのうち、どれだけが学校ポストを利用したかは不明という。
配布されたマニュアルは、市教委が昨年8月に採択した自由社発行の「新編 新しい歴史教科書」を批判し、ほかの教科書や資料で授業を展開する例を示している。
浜教組は以前から、従来の自虐的歴史観を修正する内容の自由社版教科書に反発していた。
浜教組は昨年8月にも、別の文書で学校ポストを無断利用していたことが発覚し、市教委から注意を促す通知を受けており、文書の不正配布が常態化していた疑いもある。市教委は、マニュアル自体についても学校教育法や市規則などに抵触する可能性があるとみて文書で警告していたが、学校ポストを利用した配布方法も「看過できない」として、あわせて警告した。
浜教組は産経新聞の取材に「組合の誰が学校ポストを利用したかは分からないが、行き違いがあって、一部でそういうことがあった。反省している」と不正利用を認めた。