泉:不祥事に甘い県教委、原因は委員 /山梨
毎日新聞 2011年4月8日 地方版
甲府市立中の50代の男性教諭が教え子にセクハラ行為をしたとして先月23日、から停職1月の懲戒処分を受けた。教諭の行為は2年間も不問に付されてきた。今月4日、長谷川義高・市教育長が、高校3年になった被害者に初めて会い、「想像に絶する心労をかけた」と謝罪した。
被害者はいまだ癒えぬ心の傷を涙ながらに訴えた。今でも教諭に追いかけられる夢を見るという。同席した親は「なぜ1カ月なのか」と処分の軽さを嘆いた。
納得できない処分が出された全責任はにある。委員は民間4人、教員OB2人の計6人。処分を審議した先月23日、停職1月の教委事務局案に対し、最初は多くの委員が「軽すぎる」と反発したが、最終的には、委員長を除き、反対1・賛成4で事務局案が可決された。
最後まで反対したとされる民間人の小林久委員は先月末、委員の辞職願を出した。関係者によると、小林委員は「事務局案を覆せないのなら民間人が委員をやる意義はない」と語ったという。真っ当な意見だろう。だが、学校に通う子供を持つ女性委員は取材に「委員としての仕事はした」と胸を張った。
これが「不祥事教員に甘い」と言われる県教委の意思決定の裏側であり、自浄能力欠如の原因なのだ。私は今月末で5年過ごした山梨を離れる。子供を守り教員に適切な指導ができる教委の実現を求め、記事を書き続けてきた。最後に言っておきたい。やめるべきは、事務局案に反対した委員ではない。【甲府支局・中西啓介】