堀越学園:配置転換訴訟 配転不当で無効、職員の主張認める−−地裁支部判決 /群馬
毎日新聞 2011年11月26日(土)12時16分配信
◇地裁高崎支部判決
学校法人堀越学園(高崎市、王豊理事長)が運営する創造学園大の男性職員(56)が、同学園が経営する川場村の宿泊施設「萱の家」に配置転換されたのは、人事権の乱用にあたるとして配転無効の確認を求めた訴訟で、前橋地裁高崎支部(松丸伸一郎裁判長)は25日、男性側の主張を全面的に認め、配転を無効とする判決を言い渡した。
判決によると、男性は06年4月に採用され、学生送迎バスの運転業務に従事していた。しかし10年4月、バス運転業務を委託する会社への転籍承諾書にサインを求められて拒否すると、3時間後に「萱の家」に転籍するよう命じられた。
通勤時間は、高崎市の自宅から車で片道2時間半かかるが、通勤手当の増額はなかった。ガソリン代も相当額を自己負担しなければならず、軽自動車に代えたり、高速道路の利用を控えて負担軽減を図った。男性は1年後に倒れ、現在まで自宅療養を続けている。
判決では、男性が配転命令を受けた当時、「萱の家」の人員を増やす必要はなかったと指摘。さらに(1)配転命令に先立ち、対象者を選ぶための聴取や、萱の家以外の配転先を検討した形跡がない(2)転籍拒否から3時間後に一方的に発令され、適正額の時間外手当や宿泊勤務手当が一切支払われていない−−ことから、配転は男性に不利益を追わせて任意に退職させるなどの不当な動機・目的をもってなされたと認定した。
判決に対し同学園の王理事長は「判決文を見たら、コメントする」としている。【増田勝彦】
11月26日朝刊