創造学園大:学長選考委開かれず 辞任から4カ月、依然影響力を行使 /群馬
毎日新聞 2011年12月1日(木)12時6分配信
学校法人堀越学園(高崎市、王豊理事長)が運営する創造学園大学で、堀越哲二氏が教職員給与遅配などの責任を取って学長を辞任してから4カ月が経過した。この間、新学長候補を選ぶ選考委員会は一度も開かれず、文部科学省が「早く選任を」と促しても、学園側は「わかりました」と答えるだけという。同大関係者は堀越氏が学長枠の理事として理事会に出席し、他の理事に大きな影響力を行使し続けている、と指摘する。
堀越氏は今年1月24日に学園の理事長職、7月31日に学長職を辞任し、理事会で承認された。同大の学長選考規程では、選考委員会は理事、評議員各2人、教授4人で構成し、候補者を学長任免権のある理事会に提出すると定めている。
同大の創造芸術、ソーシャルワーク両学部の教授会は9月3日、選考委員4人を選出し、学長候補として創造芸術学部の濱口晴彦教授(77)の推薦を決め、学長選考委員会を早急に開くよう要請した。
しかし、11月末になっても選考委員会は一度も開催されず、宮下伸副学長は「新学長のもとで学校運営を良い方向に持っていき、教職員は教育に専念したいが、選任について理事会は動いていない」と語る。
指導監督する立場の文科省の担当者も「これまで複数回、学長を早く選任するよう促している。法令で学長は学校法人が決めると定められており、行政が強制したり、代行して選任することはできない」といら立ちをみせる。
また同学園は「後任の学長が就任するまで、なおその職務を執ることを要する」という規程に基づき、堀越氏が「学長」を続けていると説明し、文科省との見解が大きく異なっている。大学設立時に文科省に提出された学長選考規程には「後任の学長」以下の文言がなかったためだ。
学長辞任を知った文科省の問い合わせに、学園から「後任の学長」以下の文言が入った規程が急きょ提出され、大学設立時の提出資料については「印刷ミス」との説明があったという。文科省は「この文言では、辞任後は学長代行に過ぎず、理事でなくなると解釈すべきだ」との見解を示したが、学園は「後任が就任するまで学長というのが当学園の立場。規程もその趣旨」と主張したという。
この事態に保護者の一人は「堀越氏は責任を取ったというが、これでは辞任したとは言えない。早急に新学長を選出し、安心して学べる学校になってほしい」と話している。【増田勝彦】
12月1日朝刊