女子児童らに対する連続暴行事件裁判員裁判 元教師の男、残る2事件の起訴事実認める
フジテレビ系(FNN) 2011年11月29日(火)18時3分配信
元教師の男による、女子児童らに対する連続暴行事件の裁判員裁判が始まった。
少女に対する強姦(ごうかん)致傷や女子大学生への強姦の罪に問われている東京・稲城市の元教師・大塚友意被告(31)。
大塚被告は11月4日、被害者10人に対する罪について、いずれも有罪判決を下され、29日から始まった裁判で、残る2つの事件と、それらすべての罪に対する量刑が一括して審理されることになっている。
午後1時45分から、残り2人の被害者に対する強姦致傷の罪に対して、裁判員裁判が開かれた。
紺のネクタイに黒のスーツで入廷した大塚被告は、2つの事件の起訴事実について、「はい、その通り間違いありません」と、少し震えた声で認めた。
検察側は冒頭陳述で、2009年3月、翌日に結婚式を控えていた大塚被告は、結婚式の準備を終えたあとに、以前から目をつけていた小学生に対して、「騒いだら殺す」などと脅し、暴行を加えたと指摘した。
被害者が、あわせて12人にも及んでいる連続暴行事件。
発覚のきっかけをつくったのは、ある現場を目撃した男性の機転だった。
大塚被告を取り押さえた大学生は「ドアの新聞受けのところに手を入れて、中の様子を見るような感じだったので、もう、おかしいなと思って」と話した。
八王子市内のアパートの女性の部屋の前で、不審な行動を取っていた大塚被告。
男性が近づくと、その場から逃走した。
大塚被告を取り押さえた大学生は「こっちに走って、とりあえず捕まえて、『何やってたんだ』って言ったら、『何もやってないですよ』の一点張りだったんで」と話した。
そして、住居侵入の現行犯で逮捕されると、警視庁による家宅捜索で、大塚被告の自宅から、複数の少女を暴行した証拠などが見つかった。
大塚被告は「小学生と思われる少女のあとを追っていったところ、その少女は鍵でドアを開けたので、ほかに誰もいないと思い、強引に一緒に入りました」と、犯行の手口を語っていた。
自らが教師として働いている小学校の児童に対する犯行はなかったものの、稲城市教育委員会は、2010年7月の会見で「教育委員会でも、これから再発防止ということで、服役事故の認識をさらに強めるための研修を計画してまいりたい」と述べていた。
事件後、再発防止に努めると話していた稲城市の教育委員会。
29日、あらためて話を聞くと、稲城市教育委員会教育部の千葉正法指導室長は「それぞれの先生方の授業への指導力であるとか、児童理解・生徒理解ということについては、教育委員会としても、校長先生を通じて、情報をいただいています。ただ、実際、勤務時間が終わってからの様子であるとか、そういうことについては、細かい情報はないというのが現状です」と述べた。
11月21日には、が、女の子に乱暴したとして起訴されるなど、教師によるわいせつ事件はあとを絶たない。
東京都教育委員会は、12月1日から「服務事故防止キャンペーン」を実施する。
東京都教育長人事部の鈴木正一職員課長は「うちの方としても、生徒へのわいせつは、セクハラみたいな形で規定を持っていますし、研修でも行っている。事例みたいなものを出してですね、じゃあこの中で何が悪いんだろうと、教員同士で話し合ってもらって。要するに、なぜ悪いのか自覚をしてもらう」と述べた。
実際に教職員に配布されるリーフレットで、やってはいけない行為として挙げられた事例は、「鍵がかかっていない自転車。あとで返すから、ちょっと借りていこうと思って、自宅まで乗っていきました」などというもの。
この自転車の盗難について、なぜやってはいけないのかについて、「鍵がかかっていない自転車でも、駅前の放置自転車でも、持ち主はあなたではありません。犯罪になります」と、当然の説明が書かれている。
稲城市教育委員会教育部の千葉正法指導室長は「基本的な知識として、生徒に対してわいせつ行為をはたらいたときに、罪になるかならないかというレベルからですね、きちんと理解させていくという内容になっています」と述べた。
29日の裁判で、2件の強姦致傷について起訴事実を認めた大塚被告。
検察側は冒頭陳述で、「改善・更生が困難であり、被告人が社会に出れば、同様の犯罪を繰り返すおそれが極めて大きい」と指摘した。
判決は、12月7日以降に言い渡される。
また冒頭陳述では、女児らに乱暴するために、郵便物をあさって電話番号を把握し、家族が留守であるか確認したり、被害者の制服から学校を割り出し、ホームページで授業や行事の予定を確認して、帰宅時間を予想するなど、大塚被告の詳しい犯行の手口が明かされた。