女子に“寝技”…柔道界の悪しき風潮

女子に“寝技”…柔道界の悪しき風潮
2011.12.13 ZAKZAK

 ワイドショーなどテレビの露出時間は、五輪で金メダルを獲ったときより、今回の方がはるかに長いのではないか。この1週間、柔道・内柴正人容疑者の“悪相”をいやというほど見せられた。

 至難の五輪2大会連続金メダル。真っ当なら、やがて全日本柔道連盟の強化スタッフに入り、日本代表監督や連盟幹部として腕をふるう可能性もあったはずだ。

 それが準強姦容疑で逮捕である。合宿中に大学の教え子で19歳の女子部員を泥酔させたあげく、宿泊先のホテルで乱暴したという。かつて“スーフリ”とかいう大学のサークルで、女子学生を次々に泥酔させ集団で準強姦をはたらいた最低の学生が一網打尽となった。同じようなことを、柔道という道を究めたはずの男がしでかしたのが情けなくも、腹立たしい。

 現役時代から誰かれかまわず手を出すことで有名で、相当女ぐせが悪かったとか。週刊誌の報道によると北京五輪前の日本代表の合宿中には、同室の男子選手を追い出し、不倫関係にあった女子選手を連れ込んだこともあったという。相手を縛る性癖もあり、他にも性的被害者は5、6人いるという。

 こんな男を女子の監督にしたのは、トラを野に放ったようなものだ。昨年4月に女子柔道部を立ち上げ、彼をコーチに迎えた熊本・九州看護福祉大学は、金メダリストという名声だけで信用してしまい、指導者としての“身体検査”を怠ったのかもしれない。

 ある柔道関係者にこんな話を聞いた。

 「女子柔道といっても女性指導者は少数で大半は男性が教える。ほかのスポーツと違い稽古では、寝技など体が密着するのはやむをえない。強い指導者は尊敬され慕われるが、それが恋愛感情と勘違いする監督も多く、セクハラ問題は後を絶たない」

 最近もが、宿泊先のホテルの自室に部員を連れ込み“寝技”の手ほどきをして停職処分を受けたという。そんな風潮に、内柴容疑者も「みんな、やってること」と罪の意識などまるでなかったのかもしれない。

 警察の取り調べに「合意の上」と法を盾に言い逃れしているが、19歳の未成年の部員に泥酔するほど酒を飲ませ、行為に及んだのは認めている。そのこと自体、人の道を踏み外していることさえ理解できないらしい。

 柔道では先週末、来年のロンドン五輪代表の選考につながるグランドスラム東京大会が行われたが、いまいち盛り上がりを欠いた。これも“内柴ショック”によるものかもしれない。

 今夏の世界選手権では、男女とも軽いクラスは金を取ったが、重量級では男子は100キロ級、100キロ超級とも全滅している。雪辱を期した10月の世界無差別級選手権も、鈴木桂治の銅がやっと。頼りになりそうな若手もなかなか表れない。

 外国に押されっぱなしの上、稽古中の死亡事故も増えたことで敬遠され、競技人口はフランスの半分以下の20万人にまで減少した。落ち目の柔道界を象徴するような今回の事件。その裏には金メダル至上主義、勝てば何をやっても許される風潮がはびこってはいまいか。柔道界全体で真摯(しんし)に受け止める必要がありそうだ。(神谷光男)

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