懲戒処分取り消し訴訟:鹿大に支払い命じる 「処分決定前公表は違法」−−地裁 /鹿児島

懲戒処分取り消し訴訟:鹿大に支払い命じる 「処分決定前公表は違法」−−地裁 /鹿児島
毎日新聞 2012年1月18日(水)15時47分配信

 鹿児島大大学院医歯学総合研究科の男性教授が、懲戒処分決定前に処分方針を発表され名誉を傷つけられたとして、大学に慰謝料5000万円と謝罪広告掲載を求めた訴訟の判決が17日、鹿児島地裁であった。久保田浩史裁判長は「処分決定前の公表は違法」として大学側に10万円の支払いを命じた。広告掲載の請求は棄却した。
 判決によると、教授の機器購入を巡り、大学が「妻らが役員の会社への利益誘導行為があった」として09年4月に処分方針を記者会見で公表。同7月、教授を出勤停止10日間の懲戒処分にした。
 教授側は「購入は親族の利益になっておらず、懲戒とする事由はない。事前に公表する緊急性はなく、名誉が毀損(きそん)された」と主張。大学側は「公表は説明責任を果たすため。匿名で、個人を識別できる情報は公表していない」と反論していた。
 判決で久保田裁判長は「大学の処分は相当」としたが、事前公表については「原告の名誉に重大な影響を与える可能性があり、また公表の時点では特段の必要性が認められず、違法」と述べた。
 判決を受け、鹿児島大は「公表について裁判所の理解が十分に得られなかったことは残念。控訴するかは今後検討する」とコメントした。【黒澤敬太郎】

1月18日朝刊

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする