損賠訴訟:「園児虐待」と提訴へ 両親ら、元担任保育士らに損賠求め /秋田

損賠訴訟:「園児虐待」と提訴へ 両親ら、元担任保育士らに損賠求め /秋田
毎日新聞 2012年3月27日(火)12時31分配信

 県央部の認可保育所で、担任だった保育士から虐待され苦痛を受けたとして、男児(3)とその両親が、保育所を運営する学校法人と担任保育士を相手取り、損害賠償を求め提訴する準備を進めている。男児は極度のかんしゃくや排便・睡眠障害などを起こし、医療機関に通院して投薬やカウンセリングの治療を受けている。裁判所での民事調停は不成立に終わり、母親(39)は「安心して任せたのに、こんなことになり許せない。虐待があったことを認めてほしい」と訴えている。
 男児は08年10月から11年7月まで通所。母親や関係者によると、10年4月から1年間、クラス担任を務めた保育士は、男児に対し、着替えを手伝わず泣かせ続けたり、排せつができず泣いているのにトイレに放置するなど、不必要に厳しい保育を実施。男児は便秘になり、激しく登園を嫌がり、暴力を振るったり笑わなくなるなどの症状が出たという。
 同所に勤務していた別の保育士らは毎日新聞の取材に対し、「担任保育士は泣いてもあやしたりしなかった」「男児は担任保育士におびえ、自分の元に駆け寄ってきた」などと話し、「虐待と言えると思う」と証言。担任保育士は別の園児に対しても、ぜんそくで退院したばかりの子供を狭い部屋に閉じ込め泣かせ続けたり、嫌いな食べ物を無理やり食べさせたりしていたという。クラスに担任保育士は計3人いたが、他の担任保育士は「怖くて注意できなかった」などと話していたという。
 担任保育士は昨年、両親の抗議などで保育方法が問題化したため退職。同保育所は第三者委員会を開いたが、結論は出ていない。県と地元自治体は園長らに話を聞き、同保育所を視察したが「虐待があったという証言は出なかった」とし、「私立なのでこれ以上の介入は難しい」としている。しかし、保育士の1人は「園長に行政の調査の際、言わないよう口止めされた」と話している。
 男児の母親は「預けてしまって後悔している」としながらも「相手はまだ話せない幼い子ども。虐待を認め、きちんと責任をとってほしい」と話す。父親(46)も「今後同じような被害者が出ないためにも、きちんと調査を」と訴えている。
 園長は毎日新聞の取材に対し、「実際に(虐待が)起きていたかどうかは見ていないからわからない」と話し、担任保育士は「私からは何も言えない。園を通してほしい」としている。【加藤沙波】

3月27日朝刊

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